幻想か、現実か。シリコンバレーが大変なことになっている。
スタートアップの聖地「シリコンバレー」
同じ過ちを繰り返すのか、王国は永遠に続くのか―。
アメリカ・カリフォルニア州、南サンノゼから北サンマテオに広がるIT企業・スタートアップの聖地「シリコンバレー」。いまや老舗のGoogle、Apple、Intel、次世代組ではUVERやair bnbを筆頭に、世界的成功を収めている企業が密集するのがこの場所だ。
このシリコンバレーがかつてない活況はそのままに、その影の濃さを日に日に強めている。
ITエンジニア年収は「3,000万円」以上も
いまこの地では、一流大学出身エンジニアの新入社員の年収は「1,000万円」をゆうに超える。さらに博士号まで取得している層にはプラス数百万円が上乗せされるという状況だ。
ルーキーでさえこうなのだから、複数年務めているエンジニアは、かるく3,000万円以上の年収を獲得している。もちろん、それ以上稼ぐスタープレイヤーも星の数ほど存在し、その条件たるや青天井という状態だ。となると当然、経営層の稼ぎは…推して知るべしだろう。
一方で、一般的な駆け出しエンジニアはシェアハウスに住んで日々しのいでる現実もあり、テック業界だけでも「格差」は天と地ほどの差がある。
GoogleやFacebook各社の問題
大手企業では、金銭以外の待遇も拡大の一途を辿っている。社員の送迎はWi-Fi付きの大型シャトルバスは当たり前。サンフランシスコでは「GoogleやFacebook各社の送迎バス渋滞」が深刻な問題に発展し、市民デモまでが発生した。
その事態に、州側が各社に対して特別課税の措置を取るなど、社会情勢をも揺るがしている。それならばと湾を縦断する「従業員用フェリー」が運行されるなど、各社の対応スケールは肥大する一方だ。
もちろん食事は無料で、かのtwitter社の社員食堂にはビールサーバーも完備。カリフォルニアの青い空と冷たいビール。充実の待遇どころか、仕事の阻害要因だというジョークも飛んで来そうだ。
人にも、金にも、設備にも、とことん余裕が
このシリコンバレー、筆者が6年前に訪れた際も「沸騰中」だった。しかし時を経てもなお、世界中から夢見る起業家やプログラマー、エンジニアや投資家たちがこの地に押し寄せ、気を失うまでラップトップの電源を切ることはない。
筆者がよく知るCMOは、Facebook、そしてGoogle本社内の見学をした際に「なんであんな人数が必要なんだ、彼らは1日中、何をしているんだ」と動揺を隠せなかった。
時間に追われているわけでもない、サービスが星の数ほどあるわけでもない。それなのに、見たことないほどの人数が社内を行き来していることに、ただただ興奮していた。ここでは時間にも、人にも、金にも、設備にも、とことん余裕が溢れているのだ。
ITバブルの兆候はない…?
この勢いに、投資家たちの表情は余裕にあふれている。ジョイント・ベンチャー・シリコンバレー・ネットワークは2015年初頭に「バブルの兆候はない」という声明を発表。これは15年前に勃発したバブル崩壊、実態や実力のないIT会社の株が無条件に高騰し暴落した「ドットコム・バブル」を意識したコメントだ。
しかし不景気などどこ吹く風、2015年、シリコンバレーは過去最高の新規雇用数・50,000人以上を記録した。そしてこの地の平均の年収は1,000万円を越えており、それは米国平均の約2倍に相当する。こんなポートフォリオは見たことがない。
さらにすごいデータもある。Apple、Googleなどシリコンバレーの重鎮企業の「10年前の株価を100」とした係数値である「ブルームバーグ・シリコンバレー・インデックス」。2014年以降は1,000ドルを超え、過去最高値を叩き出し続けているのだ。
サンフランシスコの家賃
これら企業の景気に比例し、ただでさえ高い家賃・土地代はどうなったか。
「世界一家賃が高い」と言われているサンフランシスコ、全米の戸建て平均価格は約2,500万円ながら、この地ではもはや1億円以上は「当たり前」となっている。一方、アパートメントの家賃が「月間50万円以上・1年間で800万円」は、至ってノーマルの状態になっている。至ってノーマルの状態、だ。
なのに、この地には個性豊かなハリウッドスターは住んでいない。その代わり、ラップトップの前でひたすら夜更かしする、ITの申し子たちが幅を効かせている。奇跡の神話はこのまま永遠に続くのか―。
2019.07.15のCNNでは「ベッドひとつ分スペースの家賃が月1200ドル(日本円で約13万円)」というニュースが改めて世間を驚かせた。あくまで共有空間でのベッドひとつ、プライベートはまったくない。
(2019.07.15(月)『CNN BUSINESS』より)
2017年時点においても「ワーキングホームレス」なる言葉がニュースになっている。ここまでして、花と霧の町サンフランシスコに暮らす、あるいは暮らさなければならない人々がいる。
(2017.12.13(水)『BUSINESS INSIDER』より)
放浪するワーキャンパーたち
この高騰しまくるあらゆるについて、とてもじゃないがついていけない世代はアメリカを季節労働しながらキャンピングカーで周回し続けるという事態にも。この問題は何もカリフォルニアに限ったことでもないが、西海岸の景気の良さの裏にある闇のひとつとして象徴的な話題となっている。
彼らはアメリカを支えてきた60歳以上の高齢者で「Workamper」(ワーキャンパー)と呼ばれている。働く場所はAmzonの倉庫での配送準備など、肉体労働が主だ。
(2017.12.12(火)『New Sphere』より)
ハリウッド映画にも
2021年2月にアメリカで公開された(日本は3月)映画『ノマドランド』(原題:NomadLand)は、まさに高齢のワーキャンパーをテーマに撮られた作品だ。2021年4月に開催されたアカデミー賞にて「作品賞・監督賞・主演女優賞」の最多3部門を受賞という評価も話題になっている。
旬の題材や社会問題を徹底的なマーケティングの元に映画化するハリウッドにおいても、満を持して取りあげられたテーマと言えるだろう。
原作は2017年にジェシカ・ブルーダーが発表した『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』で、この題名からもどのような作品であるかもある程度は察しがつく。
日本にいると今ひとつピンとこない話題かもしれないが、アメリカでの問題の大きさは推して知るべしといったところだ。
依然、好景気なシリコンバレーのビジネス
本年、シリコンバレーに所在する企業のIPOは前年比35%に急降下し、年初で26件。しかし急降下といっても「嘆くほど少ないか」と考えると答えはNOだろう。
ルネッサンス・キャピタル・IPOセンターの統計でも確かに「嫌な感じ」が出始めている評価はあるものの、その元気のなさにウォール街が敏感に反応し、株式市場が盛り上がっていないかというと、そうではない。
UBER,air bnb,snapchatの次世代IT御三家
Xデー、すなわち「いつ上場か?」と大注目のUBERの時価総額は170億ドルを越え、それは株式公開以前のFacebookを上回っている。さらにはair bnb、あるいはsnapchatなど次世代のスター企業たちも続々控え、シリコンバレーを取り巻く好景気の話題には事欠かない。
このフィーバーは、幻想なのか、現実なのか。
歴史は繰り返されるのか、塗り替えられるのか。
答えは数年先、いや数カ月先に突如、出始めるのかもしれない。
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著者:アクトハウス代表 清宮 雄
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