起業家って「ひとりブラック企業」。ぜんぜん悪い面も多いよ。
起業家とかいうのについて書いてみる
起業家の育成学校をやっているだけに、これから起業にチャレンジされる方々が勘違をしないように書いてみます。
まず大前提として、起業家もフリーランスもそれこそ、実際は儲かるかなんてわからないし「なってみなきゃわからない」世界。人生何が起こるか誰にもわかりません。
それでも起業に挑戦する人は多く、そこではさまざまなドラマや葛藤が繰り広げられています。
会社や組織を飛び出し、会社や組織から必要とされる人間になるという生き方。
すごいチャレンジであり、それはもうチャレンジだけでも評価に値することです。
起業家ってホントにキラキラ?
しかしなんだか、いつもワイワイ華々しい、起業家をとりまく国内外の話題は枚挙にいとまがありません。そもそもそういうところしかニュースにならないので無理もないですが。
10億円の資金調達、500億円での買収、カリフォルニアでのイノベーション、いま話題のAIやIoT、満を持しての株式公開や、一気に話題をさらうクラウドファンディングなどなど。
キラキラで豪快、ギラギラで痛快、起業家は紆余曲折あれど、自分の望む自由を手にし、小さな悩みとは無縁の人生を歩んでいる(?)ようにも見えます。
しかし起業で得られる自由とは、本当にそんな映画のようなもんなんでしょうか。
ええ、ちがいます。
起業家は「自由じゃない」
まず、起業家、事業家と呼ばれる人たちの実態は「朝は早く・夜は遅い人」ばかりです。起業し始めは特に。
自由時間はアッサリなく、あっても落ち着かない。ゆえに自由じゃない。
しかし激務ながら、みなどこか楽しそうなところもあります。
起業家は「お金持ちでもない」
例えば、大富豪。
ビジネスで儲けて、使い切れないほどのお金を手にしてセレブ生活。口座のお金はいつまでたっても減らず、少なくとも生きている間はまったく問題ない。
そういったお金持ちも世界には数多くいますが、起業家の生き様というのは、それに当てはまるかというと少しちがうと思います。いやお金はもちろんたくさん欲しいんでしょうけど。
いわゆるお約束の流れともいえる、M&A(Mergers and Acquisitions:事業売却)で大儲けというサクセスストーリーも痛快ですが、それでも起業家はまた新しいビジネスにチャレンジしたりします。なんでしょコレ。
お金だけを追っているようには見えません。それなら株やビットコインだけに集中しても良さそうなものです。
今を生きている感
起業家の人は「夢」を追っています。
そういった将来のことも大きくありつつ「今を生きている」という属性も強いです。
「いまは仕方なくこの仕事をやっている」といった姿勢ではない、とも言えるでしょう。
その仕事に全身全霊で臨み、ひらめきも悔しさも、人生まるごとで味わっている。
世に生きる起業家や、ゴリゴリやっているフリーランスの方々が放つ、そんな「自由」さとはいったい何なのでしょうか。
自由って?
「自由」についての話になってきたので、その定義を。
適当に、自由を2つに分けてみます。
●パターンA
働かないでいい。お金に困らない生活。もちろん会社も行かない。一生南国でゆったり。
●パターンB
生きがいを見つけ、それと共に生きる。つらいけど誰にも縛られない。
一般的に自由のイメージは「パターンA」かもしれません。
しかし世の起業家たちの放つ自由ってのは「パターンB」であるように思います。
自分で決めれる
自らビジネスを切り拓いている人たちのサイトやブログ、SNSを見ていても、自分のビジネスについて常に改善と発展を重ねていたり、いつもどこかの国にいたり。
何かをリリースしていたり、かと思えばイベントや勉強会にも出席していたり。人によってはその隙間で育児にも精を出すなど、多忙を極めています。
しかし多忙ではあるけれど、その全ては「自分の裁量」で決めていることが多い。
自分の裁量すなわち「やりたいことを、自分で決めて」やっている。
人から見て「いつ休んでるのか」「会社員やってた方が良かったんじゃない」と見えることもあるかもしれません。そして実際にサラリーマン時代の方が土日も休めてボーナスも出ていた、なんていう起業家の方は多いです。
しかし彼らは「自由」という自覚を強く持っています。
逆に言えばひとつだけ
その自由とは「勉強も冒険も、痛恨も喜びも、全部自分で開拓する自由」。と言うと、なんかカッコよくなってきました。モノは言いようです。
具体的には、朝起きる時間が自由だとか、土日だけでなく月曜も休めるとか、いつでも飲みにいけるぜとか、海外旅行も好きなときにとか、その類ではない「精神の自由」。
逆に言えば、普段めっちゃ忙しいので、精神の自由くらいしか残ってないとも言えます。でも気持ちやテンション、モチベーションは全ての源泉と言えるところ。
このモチベーションを他人に売ってしまえば、抜け殻のようになるでしょう。それが「惰性の就職」をし「生活費のためだけに働く」ということ。一番売ってはいけないもの。それは自分の魂なのです。
ただやっぱり、魂がどうこうとか美しそうなこと言うてても、現実的には体はひとつでめっちゃ忙しいので、そんなこと考えている余裕もありません。考えたこともありません。
起業家やフリーランスは土日も深夜も何かやってる人ばかり。デートの最中でも、食事中でも、突然真顔でスマホをカチャカチャやりだす痛さ全開であることがほとんどです。そしてスマホを終えると、ひとり遠くを見て満足げです。
そういうデリカシーのない、子供のような仕事人間は起業家タイプ。1秒も無駄にしないレスポンス、仕事だけはせっかち、ひらめきを逃さない判断力を大切にしています。
なんせその返信の内容と速さに、自分のフューチャーがかかっていますから。(ですが周囲の人は…急にスマホをいじっている姿にいつもイラッときてるでしょう…)
はたから見れば「休みなし」でも….
起業してビジネスを起こすと、四六時中そのことが頭から離れず、プライベートと仕事をわざわざ分けない人もいます。そこは人によるし、賛否も分かれるところ。
趣味と仕事が直結してるパターンは、あまり休日の境目がありません。その代わり航空券が安かったからという理由で、いきなり香港とかハワイに行ってたりもします。こういうところも子供っぽい。
はたからみれば「休みなし」でも本人は「アレやってみよう、コレやってみよう」という冒険を続けています。
しかしストレスフリーなんてことはむしろまったくなく、ストレスの内容が会社員と起業家では異なる、ということ。会社員は組織的の動きや繰り返しの日常なかで過度なストレスがあり、いっぽう起業家やフリーランスは「わりといちいち背水の陣」というストレスがある。
どちらも大変なのは変わりません。どっちかの方が大変なんてことはありません。
会社員だって忙しい
会社員にないストレスがあるならば、上司に「アレやっといて、コレやっといて」と言われないで生きる人生は確かにあるでしょう。
さらに社長の長話や、オチが同じ話を何回も聴かされる目に合うこともありません。「もう一軒行こうや」と終電間際に言われることもありません。研修も朝礼もありません。社員旅行も幹事もありません。かたちだけのプレミアムフライデーも存在しません。つまり「他人に使われる時間」は少ない。
とはいえ、お客から厳しい注文や要請が来るのは、会社員以上の威圧があります。自らが完全な社長だからです。守ってくれる上司やなぐさめてくれる後輩、責任をとってくれる会社の看板もなく、自分で全てを受け止めます。
しかし起業家界隈やフリーの人たちを見ているとそのあたりは「戦っている」側面が強く、やらされ感というネガティブさはないようにも見えます。
起業家は「ひとりブラック企業」
起業家は「ひとりブラック企業」とも言えます。それは、終わることなき困難の連続。
ビジネスの運転は24時間365日フル稼働、見返りがあるとしたら「自分に裁量がある」ということ。
それが2人になるとブラックが少し薄まって、グレー企業になります。その分ちょっとだけ仕事が楽になりますが、まだまだ人出は足りません。
3人になると、薄いグレーになってきます。
そうして人数が増えてくると、仕事と時間がシェアされ、過重労働も少なくなり、お互い無理せず、ホワイト企業のステイタスに。
さらに人が増えて巨大になってくると…今度は何もしないで給料をもらおうとする透明人間が増えてきて、透明企業になってしまいます。
せっかく会社が大きくなったのに、悩みも大きくなっただけ。
クリアすべきことはステージによって変わっていき、むしろハードルは上がり、やっぱり心が休むヒマはないのです。
大人になるタイミング
つまり、起業したては仕事も本当に大変なのですが、こころの自由は大きい。でも、人が必要以上に増えてくると、気づかいや人間関係の調整も発生し、その自由を保つのが難しくなってきます。
しかし人は助けあって生きています。結束する以上、自分のことだけを考えてはいけなくなります。はい、面倒くさいです。
そうしてビジネスが好転し、仲間が増えてきて、組織らしい組織のスケールになっていくとき。
それまで謳歌できていたシンプルな自由とはサヨナラです。そしてそれは経営者として、次のステージに来たということ。会社が大人になるタイミングとは、経営陣が大人になるタイミングでもあります。
しかし仲間と共に一喜一憂する臨場感と一体感に出逢うことができ、孤独な単身起業時代には得ることができなかった幸せを体験することができます。
自由の解釈
起業して自由を得たい。そう考える人は多いものです。でもそこにはいろいろ大変なことがつきまといます。
自由の解釈がどうあれ、ピュアな思いは起業時に最も大切なもののひとつ。しかし起業後の自由とは、遊び呆けていい自由ではなく、いつまでも寝てていい自由なんてわけでもなく「自分で人生を切り拓く自由」です。
これをそもそも自由と言うのか、そこは個々の価値観。
安心の地獄
起業という決断。
事業を運営していくという冒険。
そこから得られる天国な体験はごく一部であり、オールモスト地獄です。日々手応えのない一進一退のシャドウボクシングでもあり、初めての対応ばかりを強いられます。お客さんや従業員、トレンドや社会情勢が日々これ千差万別な以上、経営判断もケースバイケース。どこまで自分を信じるか、参謀の意見を参考にするか。勝負は毎回一発勝負です。
雲の隙間から晴間が見えたと思うと、すぐに暗雲が立ち込める。そんな時はレインコートを着て、長靴を履き、豪雨の中へ入っていきます。土砂降りのなか、雨風を防ぐための屋根の補繕を行わなければなりません。
いきなり比喩を入れましたが、ようするに面倒です。
ビジネスで起こる不測の事態
「ま、とりあえず様子を見よう」などと無策でじっとしていては、不測の事態に対応することができず朽ち果てていくだけ。
自社の顧客を、会社のスタッフを、路頭に迷わせてはいけないという責任。良いときは褒められることも感謝もないですが、悪い時は一気に血祭り&陰口をたたかれる孤高の嫌われ者。
そんな極限の緊張が、限界を超える体験の連続が、後ろ盾なき前進と連敗が、いつしか人生のステージを上げてくれます。戦っているからこそ、「リアル知識とメンタル成長」というリターンはデカいです。
起業という「旅」を楽しめるか
起業して事業を運営するということ、それは、終点のない旅。たまに楽しく、心の号泣もあり、張り合いと緊張の連続です。
失敗。
修正。
別れ。
裏切。
挫折。
苦悩。
叱責。
葛藤。
つらいことがほとんどの割合を占めるのに、挑戦者が途絶えない不思議なジャンル。
バカにされることも、恨まれることも、もれなくついてきます。
トラブルも珍事も矛盾も涙も笑いも、てんこ盛りの旅。
会社がなくなれば、借金が残ります。
もちろん行き先は、誰も教えてくれない。
地図は自分の手書きだし、惚れ惚れするほど頼りない。
「でも、行ってくる」
そんな旅を丸ごと楽しめる人が、起業家に向いていると思います。
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著者:アクトハウス代表 清宮 雄
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