クラウドファンディングで成功者は何を集めているのか。その本質的価値とは?
テクノロジーをいくらでも見方につけられる時代
テクノロジーをいくらでも見方につけられる時代
テクノロジーの進化によってネット上でお金を稼いだり資金調達をしたりする事のハードルが低くなり、人々のお金やコミュニティの在り方などもここ最近で急激に変化している。
例えば、個人が何かプロジェクトを起案したい場合、それを企画書などに書いて銀行に行かなくとも、ネット上のプラットフォームに自身のプロジェクトを書き込んで不特定多数のユーザーからお金を集められるようになり、そこからネット上でファンやコミュニティを築けるようにもなった。
そう、テクノロジーを見方につける事によっていくらでも選択肢が増えているのである。
最近ではネット上やSNSから情報を発信し、新卒のサラリーマンが4ヶ月くらい必死に働いてやっと手に入る100万円を、たった1週間そこらで簡単に集めてしまう人も溢れる程現れている。
その方法が「クラウドファンディング」という資金調達方法だ。
今話題のクラウドファンディングとは?
クラウドファンディングとは、モノやサービスを作りたいといったプロジェクトを持つ起案者がインターネット上でプロモーションをして、不特定多数のユーザーからお金を集める資金調達方法だ。
このクラウドファンディングには「寄付型」「投資型」「融資型」「購入型」といった様々な資金調達方法の種類があるが、その中でも特に「融資型(貸付型)」の市場は群を抜いており、単一の銀行に依存せずインターネットを利用して資金調達する方法が新常識として毎年その数字を伸ばしている。
下記図を見ると、クラウドファンディング全体の市場は年々増加しており2017年は1,000億円の市場にまで成長している。
(参考:矢野経済研究所)
その中でも最近になって個人や複数人の起案者が『CAMPFIRE』『Readyfor』『Makuake』などといったクラウドファンディングのプラットフォームで多く成功を納めているのが「購入型クラウドファンディング」と呼ばれるものだ。
購入型クラウドファンディングとは、金銭的なリターンではなくモノやサービスを投資の対価としてユーザーへ提供する資金調達方法である。
飲食店やコワーキングサービスの立ち上げ、他にも「海外旅行に行きたい!」「貧困者を救いたい!」など、自由気ままな個性あふれるプロジェクトが溢れかえっており、そのリターンとしてお礼の手紙、イベントへの招待券やプロジェクトに関わるモノやサービスを購入したユーザーへ還元する仕組みとなっている。
数十万から数千万規模まで展開されるプロジェクト
このようなクラウドファンディングで今まで実施された調達金額は、数十万円から数千万規模までと様々だ。
例えば、サイバーエージェント傘下のクラウドファンディングのプラットフォーム「Makuake」では、4,000万円を調達して映画が制作されたり、1,500万円を調達して西麻布に会員制のバーを立てたりといった数千万の大規模なプロジェクトが成功されている
(『この世界の片隅に』が映画化された4,000万円規模のクラウドファンディング」 引用:Makuake)
一方、個人がミニマムで行う小規模なクラウドファンディングも多く、それが数十万円規模のプロジェクトである。
例えば調達額およそ20万円で「MacBookが欲しい」というプロジェクトだったり、調達金額が10万円程度で「生活費が無いから生きたい」といったものだ。
しかし、このような個人の数十万円規模のプロジェクトに関しては、正直に言って「その金額なら自分で何とかならないのか」「その程度の額の資金調達で人を巻き込むのか」と言いたくなるようなプロジェクトは多くあるようにも見受けられる。
起案者はクラウドファンディングで何を集めているのか
では、そんなクラウドファンディングでお金を集める起案者達は何を目的に、何を集めているだろうか。
「それは、お金だろ。」という声が飛び交うかもしれないが、本当にそれがクラウドファンディングの本質的価値なのだろうか。
そして、面白いクリエイターやアイデア豊富なプロジェクト起案者達は、そんなただの資金調達がクラウドファンディングをやる価値の源泉になって起案しているのだろうか。
クラウドファンディングの成功例を見ていると分かったのだが、どうやら彼らにとって真の目的は資金調達のようで資金調達ではないのかもしれない。そこで筆者は、プロジェクターはお金を集める事だけにフォーカスしていないという事に気づいたのだ。
そう、彼らはエンターテイメントの一種としてクラウドファンディングをフィールド上でプレイしており、本質的には彼らはファンや潜在的ユーザーを集めている事に気がついた。
クラウドファンディングの真のメリット
クラウドファンディングのメリットは、お金と同時に自身のファンと潜在的ユーザーを多く集めることができる点だと考えている。
なぜならこのようなクラウドファンディングは「評価」や「共感」を仲介としてお金と交換する事が出来るからである。
自身の運営するオンラインコミュニティや、自身がこれから手がけるようなサービスを持っている起案者にとってクラウドファンディングは親和性が抜群に高く、自分でバイトして稼いだり銀行からお金を借りるといった方法では、クラウドファンディングのように潜在的ユーザー(ファン)を集めることはできないのだ。
そのように、クラウドファンディングはその後のユーザーの獲得に繋がるので、まさに一石二鳥だ。
フレンドファンディング「polca」
このようなクラウドファンディングを展開するプラットフォームサイト「CAMPFIRE」は、更に少額の資金調達に特化して資金調達をユーザーの日常に近づけた「polca」というサービスを展開してる。
このpolcaは「フレンドファンディング」をコンセプトに従来のクラウドファンディングのような大きなプロジェクトではなく、数万円規模の少額の金額を友人同士で集める為に使われており、まさにお金を使った次世代コミュニケーション手段の一つとも言えるだろう。
このように、どんどんとユーザーにとっての「お金」はテクノロジーによって身近なものとなっている。
今後、何が価値となるのか
さて、クラウドファンディングの価値は「お金を集めることなのだろうか」という議論は、ここまで来ると「価値はそこではない」という考えに至るのではないだろうか。
本当にお金だけを目的とするならば、ネットに一切現れずコツコツとアルバイトなり仕事なりして貯金すれば良いし、特にネット上で影響力のあるインフルエンサーならそんな事しなくともお金は簡単に稼げるだろう。
よって、その価値はクラウドファンディングのプラットフォームから得られるコミュニティ価値や共感の数値化にあるのではないだろうか。
このようにネット上で活躍する為のインフラが整ってきた事から、今後は「お金」ではなくSNSやネットサービスを利用した「評価」や「共感」が価値になっていくだろう。
調達額は信頼と共感のパラメータ
以上がクラウドファンディングについての考察だったが、ネット上で資金調達をする事は簡単ではないだろう。
そもそもお金は「信用」そのものであり、見知らぬ人にひょいと投げ銭する程お人好しな人ばかりではない。そして、無駄なお金は1円たりとも他人に渡したくはないはずだ。
そこで大事となって来るのが信頼や共感だと考えており、クラウドファンディングでの調達額はそれを数値化したパラメーターである。
なので、言ってしまえばリアルであろうがネットであろうが、常に信頼や共感は大事なポイントとなるのだ。
それに手段がクラウドファンディングであろうと、フリーランスが請け負う業務委託であろうと本質は変わらない。
「お金を稼ぐ」から「信頼・共感を稼ぐ」という価値観の表れは、今日のクラウドファンディングでの成功事例が物語っている。
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著者:Kenta Fujii
アクトハウス卒業生。大手金融機関に新卒で入社するも11ヶ月で退職。その後はフリーランスのライターとして独立し、新規立ち上げのメディアに複数携わりながらキャリアを積んでいる。