フランス・パリで数日間 “ノマド生活” してみてわかったこと。
2018年5月上旬、フランス・パリを訪れました。
※さすがは芸術の都、パリ。空港のウェルカムボードがかっこいい。
数日間ではありますが、ノマドワーカーとしてリモートワークをする機会がありましたので、その様子をレポートしつつ、そこで感じたこと・考えたことをまとめてみたいと思います。
「華の都」パリ。
パリって、こういうイメージですよね。華の字が違うかな・・・。
オシャレで芸術への造詣が深く、優雅な愛の国。ワインにエスカルゴ、クロワッサンとカフェオレ。なんだか、人生の達人が多そうなイメージが勝手にあります。
今回、筆者が滞在していたのは「Gare de l’Est(パリ東駅)」の近くにあるホテルでした。
「鉄」分が若干多めの筆者、フランス版新幹線たる「TGV」を間近でみたいからという理由で駅近ホテルを予約したのは内緒。
※たまたま駅構内に行ってみたら、全車両2階建ての新型TGVが止まっていたのでパシャリ。ホテルの写真は撮り忘れても列車の写真は忘れません。
パリ東駅周辺の環境は?
パリ東駅は、フランス東部方面各所への列車(主にTGV)の他、ドイツやルクセンブルグ方面への国際列車(ICE)が発着するターミナル駅です。
※一見、駅とは思えない。博物館のような外観の建物。
地下鉄も複数路線が通っており、バスもひっきりなしに発着します。
駅構内は常に人で混雑。カフェやパン屋(ブーランジェリー)が軒を連ね、コンビニエンスストアやスーパーマーケットも店を構えています。周辺は、ホテル・カフェ・スーパーマーケット・飲食店が立ち並び、生活には全く困らないな、ということがすぐに分かりました。
筆者はパリに早朝着のスケジュールだったため、ホテルにすぐにはチェックインできず、荷物を預けてさっそく近隣のカフェに出かけてみました。
パリのカフェでノートパソコンを取り出し作業開始。グローバル・ノマドワーカーになれたかな、と思ったら。
「ようし!花の都・パリの空気を満喫しながら、ノートパソコンでも開いて優雅にメールチェックしちゃうぞ〜」
「機内で片付けられなかった仕事もバリバリこなしちゃおうかな。」
※パリのカフェにいる、というだけでなんだか興奮気味の筆者。テラス席に座る勇気はなく、店内から外の様子を撮ってみるに留めました。
人生初のパリ、筆者のテンションもどうやら上がっていたようです。
TGVが発着する駅から近いのが理由でテンションが高かったわけではないですよ!通常型のTGVももちろん写真を撮りましたが。
※さっきと同じ写真じゃないか、と思うでしょ。違うんですよ。よーく見てみてくださいね(笑)
人生初のパリの街角のカフェ。
ノートパソコンを片手に、ITを駆使して仕事する。
そんな「グローバル・ノマドワーカーな自分」に酔いしれちゃおうかなと思ったら・・・。
「パリでのノマド生活、大丈夫かな・・・」と思うような出来事に遭遇してしまったのです。
①英語が通じない・・・!?世界標準言語じゃなかったの・・・。
筆者はフランス語が全くできません。
※知ってる言葉は「ボンジュール」と「ウィー、ムッシュ」くらい。これじゃ会話になりません。
そこで、グローバル・スタンダードとされている英語で店員さんに話しかけてみます。ところが・・・。
どうやら「フランス人は英語をあまり好まない」らしいのです。全員が全員ではないのでしょうが・・・。
明らかにアジア人な筆者の横を素通りして、地元のお客さんを優先で接客しているスタッフたち。当然皆さんはフランス語で会話されています。
※あのー!店員さん・・・。
やっとのことでギャルソンを呼び止めて「アイス・カフェオレ」を頼みました。ちゃんと「iced latte」と、「トゥ」を小さく発音することも忘れません。
ところが。
「アイス・カフェオレはない」「カフェオレならある」
!!
そうなの・・・。こんなに暑いのに、アイスないの・・・。
※筆者がパリに到着した日は「夏か!」というくらい、スカッと晴れて暑い日だったんです。冷たいのが飲みたかったんだよな・・・。
・・・しかたない。そういう文化なのでしょう。不勉強な自分を責めつつ「カフェオレ」と頼み直しました。
そして、供されたのがこちら。
おやおや・・・。デミタスカップです(笑)。しかも、エスプレッソじゃないか・・・。「オレ」のはずが、ミルク成分を全く感じなかったし・・・。
これが「オレオレ詐欺なのか」とかくだらないことを思い浮かべながら、一瞬で飲み終わってしまいました。どこが優雅だったんだ。
これはもちろん、私の発音がしっかりしていないのが良くなかったんだと思います。口を大きく開けて、大きな声で発音すればよかった。オシャレなカフェの雰囲気に負けてボソボソと喋ってしまったのが原因です。。。反省。
後日、フランス人の友人と話していてら、「なぜフランス人は英語が好きじゃないのか」を解説してくれました。とても興味深い考察だったので、ご紹介したいと思います。
「そもそも、フランス人はラテン系の民族。英語を話すのはアングロサクソン。民族が違うんだから仕方ない。」
確かに、フランスと隣国のイギリスは仲が悪いとも聞きます。そうか、そうだったのか・・・。
※実は友人との会話では、フランス人が隣国をどう思ってるか、みたいな面白い話を沢山聞いたのですが、こういう場で全部書くのはなかなかまずいこともあったので、割愛させていただきました。
②Wi-Fiが通じない!?そもそも「ワイファイ」じゃない・・・。
カフェに入った理由の一つは「Wi-Fi」を使わせてもらいたいから。デミタスカップで登場したコーヒーを一気に飲み干してしまった筆者は、仕方なくギャルソンを呼び止め・・・。
筆者「Can I have Wi-Fi password?」
ギャルソン「・・・?」
筆者「ワイファイ」
ギャルソン「・・・?」
筆者(Wi-Fiのアイコンを見せて)「This.」
ギャルソン「ウィーフィー?」
「ワイファイ」ではなく「ウィーフィー」と発音するギャルソン。そうなのか・・・。
こういうのも、現地に入ってみて初めて分かることですね。勉強になった。
そんなこんなで、筆者人生初パリのカフェでのノマドワーカー・デビューは、エスプレッソのように苦いものとなりました。
※(我ながらうまい表現)
パリの街を歩いてみる。街に出るから、わかること。
別の日。せっかくパリに来たんだし、街中にある別のカフェで作業をしよう、と思い立ちました。
①フランス発のブランドがあっちこっちにある
日本で「高級ブーランジェリー」とされている「PAUL」ですが、パリ東駅の中には2軒あったうえ、そのうちの一つは駅のホームにありました。
※パリ東駅構内にあるPAULのスタンドでキッシュ1個をテイクアウト。
日本で言うところの「NEWDAYS」のような、駅ナカコンビニの機能も持っているようです。よく見てみると、地下鉄の駅構内にもありましたし、街中にもありました。
ここまで店舗数が多いと、「高級」というより、もはや「大衆」という感じがしてなりません。パンを愛するパリジャンたちの生活に根ざしたブランドであると理解しました。そんなPAULというブランドを日本で展開するにあたって、「高級路線」としてブランディングしたのだな、などとビジネスの裏事情をいろいろと邪推してしまいました。
それ以外にも、東京では有楽町の超一等地に店舗を構えるメゾン・デュ・ショコラも、パリでは薬局の隣にこぢんまりとお店を構えていたり。
日本にいると「フランス発のブランドだから、高級品」と勝手に思い込みがちですが、実際に現地に行ってみるとむしろ「地域に密着している、根ざしている」という印象を受けるブランドばかりでした。これは、実際に行ってみて街に出てみて、初めて分かったことでした。
②くさい
「日傘が生みだされた理由」「貴族の女性の服装のうち、スカートがこんもりしている理由」「ハイヒールが生まれた理由」それぞれ、本当の話なのかどうかは定かではありませんが、一つ共通している要素があります。お食事中にこのエントリを読まれている方もいらっしゃることを考慮し、明確には書きませんが、大体想像できるかと思います。
正直「華の都・パリ」という名が完全に汚れるだろ、と思ってしまうレベルで臭かったです。「パリ 臭い」と検索すると、ブログエントリが出てくる、出てくる・・・。皆さん同じこと感じていたんですね。筆者も事前に聞いてはいましたが、確かに街角に立ってみるとわかります。ああ、こういうことなのか、と・・・。(わかりたくなかった・・・)
※快晴のルーヴル美術館。気持ちの良い写真ですよね。ところが、この生け垣の向こうで立ちションしているおじさまがいたんです・・・。そりゃ、くさくなるわな・・・。
実はアクトハウスの参加者さんから「セブは臭い」とごくたまーに言われることがあるのですが・・・(筆者はそうは感じない)。正直パリはセブ島の何百万倍も臭いと感じてしまいました(パリの皆さんごめんなさい)。
でも、そんなこと、比較することでもないんですよね。
思えば、日本もしょうゆっぽい臭いがするなんて言われますし。
結局のところ自国以外に出ると、自国では感じたことのない臭いを感じて、「くさい」というのだろうな、と思った次第です。だから、くさい・くさいと批判して毛嫌いするのではなく、「こういうもんなんだな」とおおらかに構えて受け入れるほうが、実際にそこにいることを楽しめるのだろうな、と思いました。
また、「くさい」というのは、時として、差別的表現にも繋がりかねませんよね。臭い(匂い)の話一つを取っても、そうした国際感覚が問われる時代になっているな、とも感じるお話でした。
・・・なんだか身も蓋もない話をしていまいましたが、パリは本当に美しい街だと思います。(パリに限らず、どんな街にも、その街ならではの良いところが必ずあります。)
ライトアップされた旧市街地域をご覧ください。荘厳で素晴らしいですよね。
③セーヌ川の川べりにはノートパソコンを広げている人がいない
そういえば、アクトハウスのスタッフは、フィリピンのセブ島でこんな写真を撮っていました。
「ノマドワーカー」「海外」あたりのキーワードで考えていくと、↑こういう姿を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
さて、パリといえば、パリ市内を流れるセーヌ川が有名です。旧市街は、セーヌ川に浮かぶ小島に誕生したそうです。
セーヌ川沿いなら、ノートパソコンを広げてゆったり作業できるかも。
早速、旧市街であるCiteまで地下鉄で移動し、セーヌ川沿いを歩いてみました。
しかし・・・。
歩いても、
歩いても、、
歩いても、、、
歩いても、、、、
川べりで作業できるような雰囲気じゃない(パリジャンにとっては当たり前かもしれません、すみません笑)。川べりにいる方々は、みな、軽食を取ったり、本を読んだり、ジョギングをしたり。どちらかと言うとゆったり寛いでいるという感じ。「ノマド的に仕事している」という方は見かけることができませんでした。
散歩の途中で、遊覧船を改造したカフェを見つけました。まだ営業時間前だったのが残念。
凱旋門まで歩いてきてしまいました。
オー!シャンゼリゼ。そういえば、シャンゼリゼ通りの凱旋門の反対側は、表参道かな?と思う程度に「普通の街並み」が広がっていました。ヨーロッパの街風景は個人的に好きですが、正直、ここがパリなのかどうか、この写真だけではわかりませんね。
凱旋門周辺は、「観光地」という印象が強く、カフェやファストフードチェーンがあったとしても人でごった返しており、とてもではないですがノマドワークに向くとは思えません。
・・・そんなわけで、街中を歩いてもめぼしいカフェを見つけられず、結局、パリ東駅に戻ってきてしまいました。
④駅のカフェなのに、Wi-Fiがない・・・。
パリ東駅の入り口にあるカフェ「La PLACE」。
広大なスペースで、ゆったりと寛げます。席には電源完備。
クロワッサンとカフェオレ(アイスはこの店にもなかった)を買って、一息つきました。
筆者「Can I have Wi-Fi(※ウィーフィーと発音してみました) password?」
ギャルソン「No, we don’t have Wi-Fi(※やっぱり、ウィーフィーと発音していた)」
Wi-Fiなかった・・・。
駅のカフェなのに、Wi-Fiないのか・・・。結局、テザリングで作業することにしました(笑)。
果たして、パリはノマドに向いているのか。
たったの数日ですから、結論として出すのは尚早かなと思いますが・・・。まとめとして。
少なくとも、私が拠点にしていたパリ東駅周辺は、「難しい」と思いました。
「暮らす」という観点で言うと、物価自体は「あまり日本と変わらない」という印象です。しかし、ホテルはもちろん、アパルトマンの家賃はかなり高いほうだそうです。
さらに、ノマドな働き方をする上で欠かせないカフェについても、日本に点在するカフェとは雰囲気が少し違い、朝は朝食、昼はランチ、夜は手軽な夕食、それぞれ食事をとる目的があるため、ノートパソコンを広げて作業をしている、という姿は少々違和感があるようでした。
帰国後に調べてみましたが、「パリ ノマド」で検索しても、日本語の情報はほとんど出てきませんでした。
※「セブ ノマド」の検索結果のほうが情報が多かったことを考えると、「ノマド生活」という観点で見ると、パリよりもセブ島のほうが向いているのかもしれませんね。
ただし、フランス政府もスタートアップや起業家の受け入れは積極的であり、コワーキングスペースの整備も進んでいるようですから、パリもノマド生活に適したファシリティが今後整って行くのかもしれません。「先進国」「後進国」という区分け方とは別で、ノマドというワークスタイル観点で見ると、実は国によってさほど差がないというのが印象的でした。
まとめ「フランス・パリで数日間ノマド生活してみて思ったこと3つ」
▶思い込みはダメ、「ヨーロッパだから進んでいる」というわけでもない。
筆者が数日間滞在した限りではありますが、「ノマド生活」「リモートワーク」に最適なカフェは見つけることができませんでした。「電源がない」「Wi-Fiがない」カフェのほうが圧倒的に多い印象です。ですから、ノートパソコンで長時間作業するというのは事実上、難しい印象でした。
もちろん、ノマド生活が快適だから進んでいると判断できるわけでもありません。歴史ある建築物が多く街並みや風景はとても素晴らしいですが、街角のいたるところでゴミが散乱していた様子や臭いの問題を考えると、ヨーロッパが「すべての面で進んでいる」と思い込むのは危険と感じた次第です。
▶英語は万能ではない、コア(コミュニケーション)スキルを身に着けるべき。
パリでは、英語で話しても、相手が英語を話せないというシーンがかなり多くありました。郷に入っては郷に従え。本来ならフランス語を勉強して、話さなければならないところです。若年層は英語を普通に話せるようになっているそうですが、年配の方だと英語を毛嫌いしているケースも。
こうした場合、自らの「伝えたい」という気持ちのほうが大事になってきます。だからこそ、コアスキルとしての、コミュニケーションスキルを磨くべきなのだな、と感じました。
▶見聞を広めるためにも、街には積極的に出るべき。
「実際に行くからわかる」ということがあります。その場所に実際に行き、空気に触れること。そこで理解できることがたくさんあります。
ダメなところばかりに目を向けて批判し、自分の殻に閉じこもる(引きこもる)より、思い切って外に飛び出し、街を歩いてみると「発見」がたくさんあります。そうした「発見」から「気付き」が生まれ、知見として蓄積されていくものだと思いました。
こんなにも美しいエッフェル塔は、先人たちの自己研鑽に基づく英知が積み重なって建てられたのです。後に続く私たちも積極的に知見を蓄え、自らを磨いていきたいものですね。
【著者:アクトハウス 新村 繁行 ▶ セブ島のIT留学「アクトハウス」を詳しく見る】