一流がやり続けている「たったひとつ」の地味なコツ。
成長と突破の近道はどこにある?
「人として成長できていて、まず何よりも自分が自分にある程度の満足ができていること。
周囲からも認められ、なんとなく情緒が安定していること。
そして一定の満足できる収入があり、時間もそこそこに取れること。
マックスの自由ではないが、気持ちが開放されているので仕事は大変であっても、ネガティブに辛くはない。」
ビジネスやプライベートにおいて、いわゆる「自由人」「プロ」「一流」などのステイタスにある人、あるいはそれに近いしい人らが確保したこの状態。こういうステイタスに自分をなんとか持っていきたい、そう思う人は結構いるのではと思います。
でも何からすればいいの?と。具体的に知りたい!という。
そのときに、遠回りと思っても取り組んでみて欲しいのが「今やっているなかで、ひとつだけに集中する」ということです。うん、そんなことなんです。
カンタンなことのようで、これを「会社」でやるのは結構たいへん。上司や会社のしがらみ、いろいろ感じているみなさまならわかるはず。
続けます。
評価が一時的に下がっても「ひとつ」を獲りにいく
会社員、アルバイトなど「務めている方」は特に覚えておいていただければと思うのは「結局どんなプロも、その評価や実力は『小さなひとつひとつのスキル』の集合体」であること。センスや魔法で一気にすべてを獲得したわけなどあり得ませんよね。
いま、あなたの周りや、あるいはネットの著名人でも、リア充に見える誰かでも。そういった一線を超えて突き抜けている人というのは決して、現時点でさえも完璧な人間ではありませんから…(むしろまあまあアレかも)。当然不得意なこともたくさんあり、なんなら突き抜けている分、わりと人間的には”自称”未熟な人ばかりと思いませんか。
ただ、そういったプロな人たちが、いわゆる一般の人とちょっと違うのは「眼の前のひとつ」を「まず徹底的にクリア」してきた積み重ねの末にいる、ということです。現在も、、もちろん積み重ね中。だから一流。
当然、そんなかたよった行動に出れば、周囲、例えば会社の上司や先輩から「もっとバランスよくやれ」とか「そこだけ得意になっても仕方ないだろ」と、バランス系の指摘が入ります。入らずとも、そういう目で見られたり。
ただここでひるまず「この1週間は何を言われても、特にここに注力して得意になろう」「ほかのことは指摘されても、それはまた別の期間に得意になろう」と、スキルの断捨離と計画性を持つのが大事です。
なぜなら、どっちみち「いろんなことをバランスよく同時に同じ速度で成長させる」ことなど出来ないから。そうなんです、どっちみち一気に全部は無理なんですね。ただこの俯瞰が出来ないと、もともと不可能な「全部、だいたい同じ速度でうまくなる、プロになる」をやろうとするので、破綻します。
破綻とはつまり、行き詰まって、結果的に「どの仕事も一生、三流」という域を出ない。
例えばこの状態を10年続けてしまい、ある日上司に「ひとつひとつでいいから、ちょっとづつやりなよ」なんて言われたら。「わたしの10年を返せ、一気にやれ、バランスよくやれ、みたいなニュアンスで昔は言ってたじゃないか!」とも言いたくなるでしょう。でも、時間は返ってきませんし、事情を知らない人からしたら「人のせいにするな」で、終わってしまいます。そんなの、悔やんでも悔みきれません。
なので「ひとつ」をまず獲りにいく。周囲からの批判を覚悟に、まずは眼の前のひとつを獲りにいってみてください。
例えばどんな「ひとつ」?
ここでちょっと疑問に思うのは「どんなレベルの”ひとつ”なのか?」ということでしょう。
ここはそのお仕事ごとで変わってはくるものですが、例えば下記のイメージです。
①この3日間は「挨拶」だけは誰にでもちゃんとする
②この3日間は「電話の受け答え」だけをしばらくは極める
③この1週間は「いつも上司が言っているなかで一番言われていることだけ」をひとつやる
④この1週間は「誰よりも早く資料を作る、勝手にレースを心の中で開催する」
⑤今月は「絶対に会議で最初に話す、必ず1回は発言する」
このようなイメージです。こんなのが意味あるかどうか。実はあるんです。ちょっと改めてこの①〜⑤を見てみてください。これをやってみて、2ヶ月後にこれらが板についてきたら。あなたのスキルはそれまでの自分と少なくとも「5つ」ちがうことになります。5つプラスの要素が増えている。
社会という、出たこと勝負の厳しい毎日のなかで、アドリブも含め、これらをこなしていくのは実はとっても大変なことですよね。挨拶ひとつ取っても、小っ恥ずかしいこともあるし、そもそも挨拶したくなクソ上司もいるでしょう。でも、やる。理由は「一流のひとたちも、ひとつひとつの積み重ねで成り立っている」から。
これら例にある①〜⑤を、誰かに「やれ」「やれよ」「やっとけよ、報告しろよ」なんて言われたら、やる気も出ませんし、やらされだし、やったかやってないかの評価もつけられますから、面倒だしそもそもモチベーションも上がりません。つまり、やらなくなります。
でも自分のなかで「ひとつひとつの集合体が一流」「一流のプレイヤーもこういうことを積み重ねている」「ひとつひとつのは3日間とか、1週間レベルの話なんだから、やってみてもいいか」と思えたら、ぜひ実行してみてください。
一流の口癖「〜〜しないと気持ちが悪い」をマネる
で、ひとつひとつのことを、自分のなかで「板につけていく」つまり身につけるために、ちょっとしたコツがあります。
それは、少し最初は慣れないかもですが「〜〜しないと気持ち悪い」というモードに自分を持っていくこと。これは月〜金だけでOK.土日はだらしない生活で真逆でもOK。
例えば「挨拶すると地味に心の中で決めたから、やらないと記録が途絶えるので残念だし、やらない自分は三流すぎて気持わるい」「電話の受け答えだけはちゃんとしないと気持ち悪い」と、気持ち悪い星人にちょっと自分を仕向けます。
どんなにだらしない人でも、ここを無理にゲーム化するようなイメージです。
これはイメージ論でなく「一流の人達の口グセ」から引っ張った理論。何かを極めた人に多い口グセが実はこの「〜〜しないと気持ち悪い」なんですね。
「最初は嫌だったけどさ、今は毎日やらないと気持ち悪いんだよね」
「なんか、ここはやらないと気持ち悪いんだ」
「面倒だよもちろん。でもやんないほうが気持ち悪くなるから」
こんな言葉はよく、会社の代表やスポーツプレイヤーから聞かれます。たいがいこれらは「暗示」です。ほんとはみんな面倒なことだって思ってるけど、自分を鼓舞して、奮い立たせているんです。
だから、そのマネをしましょう。一番の近道は「まずマネをする」こと。 で、一応でいいから、月金だけでいいから「〜〜しないと気持ち悪い」な人になってみること、演じることからです。
その上司、その会社に一生いないと決める
で、もうひとつ、自分を上にあげていくためのコツを。
もうとっくにみなさんそかもしれませんが、正式に「この上司と一生働くわけじゃない」「この会社に一生いるわけじゃない」と、改めて決めてみてください。
そして、完全に「この会社では出世しない」と決めてください。さらに「その代わり、電話の受け答えだけは極めるとか、誰にでも明るく(それが演技でもOK)挨拶できる人になるなど、人間的なスキルを高める《練習場》としてだけ使う」と決めましょう。
先に答えを言っておくと、そうやってひとつひとつ、自分で課題を決めてクリアしていくと、周りはだいたい2ヶ月くらいすると気づいてきます。あなたのスキルアップに。で、したくないのに出世らしき話が飛んでくることも。でもそのときは「一応、練習の成果はあったな」とだけ思っておけばいいです。自分にとって、その出世が必要と思えば受ければいいし、拒否してもOK。でも基本は、立場が変わればいろいろな見方ができるので、それも「練習」と思って受ける方向で考えてもいいでしょう。
まあ、しかし、出世的な話はあくまで脇役、スピンオフ。なぜなら「一生いない会社を自分の練習場」に使っているだけなので、そこはどうでもいいのです。
ゴールは、この記事の冒頭に書いた、
「人として成長できていて、まず何よりも自分が自分にある程度の満足ができていること。
周囲からも認められ、なんとなく情緒が安定していること。
そして一定の満足できる収入があり、時間もそこそこに取れること。
マックスの自由ではないが、気持ちが開放されているので仕事は大変であっても、ネガティブに辛くはない。」
このあたり。つまり、今の職場では逆立ちしても望めない状態。だからシンプルに「練習場」としてだけ使う。この割り切りが大事。
1つが2つ、3つと増えてきたら転職、退職を視野に。
で、例えば数ヶ月の間に、自分の、自分なりの「できた」が1つや2つ、3つ4つと増えてきたら。
退職を視野に入れていきましょう。スキルアップできてるわけですから、次のステージを考えます。
会社には一定の感謝を持ちます。だって、家で一人でいたらこのような「練習」はできなかったし、当然YouTubeを見ても本を読んでも身にはならなかった。会社という社会の本番の中で、しかも給料をもらいながら「練習」できたのは、まあそこだけはありがたいと。
よく言う「会社を自分のために使う」ってのは、なんとなくはわかるけど若干抽象的に感じていた人にとって、今回の「ひとつを獲りにいく」「そのひとつは、とあるものが3日間、とあるものが1週間など、地味で細かくていいから、そこだけに集中する」というやり方であることが明確になり、少し意味合いがつかめたのではないかと思います。
自分で決めた、地味な「ひとつ」をクリアすることに徹してみてください。
上司に変なこと言われても「練習場」だし「一生一緒に働かない」そして「数カ月後に退職するし」の精神で、自分磨きに会社を使ってみましょう。そして会社を辞める際はその前に「会社を辞める手順「7つのステップ」退職手続き・言い方や決断のコツ。」をチェックして準備。
そして、退職後の次のステップでは、具体的かつ現実的な「ひとつ」の道を決めるのはブレずに。それがどんなひとつでも、自分が納得できるもの、将来性があるものなどで決める。例えばこんな「ひとつ」に絞っての人生の切り替えです。未来に拡張があれば、全然最初は絞っていい。「ひとつ」を獲りにいく。
現実には、なかなか難しい場合でも
そうは言っても、会社のなかで「ひとつ」にはなかなかこだわれない、できるわけないという方もいますよね。多くの方がそうだと思います。
なんとかそれでも、些細なことでいいので、この記事のような意識を持ってみてください。
かかってくる電話に対して「こうしてみよう、それを今週はやってみよう」「ほかは少し、手を抜くのもあり」と、誰にも言わずに実行。
こうやって些細なことでも「会社を利用するクセ」「会社を練習場にするクセ」がつくと、いまいる会社を「使う立場」になってきます。
その積み重ねが、自由への一歩となります。
そして一定のステイタスを得るとき。
「無駄だと思えたどうでもいいことの積み重ねで、今がある」と言える日が、必ずやってきます、そう遠くない未来にです。
著者:清宮 雄(アクトハウス代表)