北海道で「社会起業家」に。

本インタビューの概要

今回はアクトハウスを卒業後、社会起業家となった岩本さんにお話をお伺いしました。

学生起業の挫折、そのリベンジへ

▶当時なぜアクトハウスに参加しようと思ったのでしょうか?
「実は、参加前は北海道で学生をしていて、学生起業に挑戦していたんです。でも、その起業は挫折に終わり…」

▶そんな経緯が…。
「はい、しかしやはり、いずれは自分で事業を起こしたいと思い、起業に役立てるスキルを学びたいと考えた時、見つけたのがセブ島にある「ビジネス・Web・プログラミング・デザイン・英語」を学べるのがアクトハウスだったんです」

▶そうだったんですね。ご参加時のスキルは?
「IT、プログラミングは初級者、英語も初級者、ビジネスも初級者でした」

▶全てゼロからだったんですね。
「ですね。デザインには元々少し興味があり独学したことはありましたが、ITに関してはほぼ皆無、英語も受験以来触れたことはなく、ビジネスも体系的に学んだことはありませんでした」


(現在は北海道で社会起業家としての日々をおくる)

複数カリキュラムをこなす日々

▶プログラミングやデザイン講座の感想は?
「デザインに興味があったため、デザインの授業は楽しく実りあるものでした。プログラミングの授業はついていくのがやっとでしたけど、これも身になりました。セブに来た時は何も知らなかったのに、今では一からWebを制作できるようになっていますから」

▶各講座の特色があったんですね。
「楽しかったのはデザイン。助かったのはプログラミング。こんな分け方でしょうか。プログラミングはつまづくとそこで止まってしまいますから、メンターさんに聞いて即解決ってのはこれはもう大きいですよね」

▶特に得意分野となったジャンルはありますか?
「僕は、元々好きなのもあって、やはりデザインでしたね。もちろんただ作るでない、ブランディング理論を学んでうえで、平行して習っていくマーケティング施策に基づいたデザインです。これらは現在の事業に生きているだけでなく、個別でチラシ、バナー、商品ラベル作成等の案件も受けることができるようになりました」

▶英語レッスンの感想は?
「個室だし、マンツーマンの授業、周りに気を使うことなく、質問できて話せる環境が良かったですね。先生とも仲良くなれ、今でもメッセージでやりとりすることがあるんですよ」

▶卒業から1年くらい経った今でも?
「ええ、メッセージのやりとりはもちろん英語で、いろんな話をしていますね(笑)」

▶それはいいですね。
「英会話のスキルに関しては、6ヶ月間勉強してみて、意外と受験英語が役に立つことがわかりました。話す勇気さえあれば、もちろん受験英語レベルでも十分会話できますが「瞬時に言葉に出せるかどうか」はやはり集中した学習がものを言うんだな、と」

▶会話ができて一人前、と。
「そうですね。今は北海道のニセコ町という、外国人がおそらく多分、日本で一番多いであろうエリアに起業して住んでいるのですが、ここでは本当に英会話の経験が重宝していますね」

メンターとの距離も近かった

▶ビジネス講座の感想は?
「ビジネスの講座で一番印象に残っているのは、プレゼンテーションですね。講座を通し、多くの気付きがありました。全体を通しアウトプット型の講座なんで、最初は多少つらくても、やはり身になるのは早かったです」

▶メンターが同施設だと質問しやすかった?
「質問しやすいです、これは間違いないです。プログラミングは特に、その場で解決できないとどんどん疑問で山積みになりますから、経験あるメンターさんにすぐ聞けるのはこれ以上ない環境でした」

▶積極的に質問しました?
「もちろんです。ただ丸投げのような質問ではメンターさんでも答えにくいと思いましたので、自分なりにまずは疑問を調べたり考えたり、アイディア練って持っていってました。そうやって建設的な話や議論ができるよう心がけていましたね」

▶その効果はどうでした?
「かなりあったと思います。短い時間で深い話ができるので、効率的だし理解度が深まる。またダラダラとなりませんから、疑問の解消がとにかく早い。それって、自分で少しでも試行錯誤しているからだと思うんですね」

▶環境をうまく利用したんですね。
「アクトハウスって受け身ではもったいない環境で「どうフル活用するか」が重要と思うんですが、メンターさんと距離が近い少人数講座というのも、良い環境でした」

実践では大型案件に挑戦

▶ビジネスの講座について質問です。6ヵ月コースの「案件への挑戦」ではどんなチームでどんな案件を?
「これはなかなかすごい体験でした。実践で一番大きな案件は、誰もが知る日本最大手と言ってもいい大企業のWebプロデュース。もちろんこの案件自体も、参加者自身がチームで営業施策を練り、自分たちでつかんだ案件です」

▶具体的にはどんな案件?
「その内容は「新卒採用サイト」という…結果も問われる重要案件でした」

▶それは責任重大ですね。制作はどんな布陣で臨んだのですか?
「僕はデザイナーとして関わり、チームとしては、サポートのデザイナー1人、プログラマー1人、コーダー3人、ディレクター1人という布陣でした」

▶なかなかの大所帯ですね。
「そうですね、みんなでやる大変さもありつつ、心強さはもっとありつつ」

▶うまく連携できました?
「作業はデザイン、コーディング、プログラミングの順で制作が進むのですが、難易度が非常に高く、そのため僕のデザイン遅れが後続に影響することもあり…なかなか厳しい場面も度々ありましたが、最後は納品まで漕ぎ着けることができました」

▶顧客満足はいかがだったでしょうか。
「制作中は紆余曲折、一進一退でしたけれど、だからこそもあって、高い評価をいただくことができました。継続してサイトも使っていただいているんで、結果と言う意味でも出せたのではないかと思っています」

▶案件は他にも?
「その他には、ブリッジSEになった同期のプログラマーとチームを組み、2人で幾つかの案件に挑戦もしましたね」


(アクトハウスにて。同期と大型案件に挑んだ)

卒業後は社会起業家へ

▶卒業後の今は何をされていますか?
「北海道に戻り、学生時代に挫折した田舎での起業を実現し、社会起業家として再挑戦しているところです」

▶なぜ若い年齢で起業しようと思ったのでしょう?
「んーーーなぜ?? たぶん、あれです。「明日が最後の1日だとしても後悔しないように」というやつ。あと、海外の魅力ある起業家は「とりあえず3年の社会人経験」といった、無難とも思える道は歩んでいないこともありました」

▶なるほど。
「あと、僕の野望はおそらく、かなり大きいため、挑戦するのは早ければ早いほどいいという風にも考えていました。そういった理由で、起業するなら若いうちにという考えに至ったんだと思います」

▶起業は挑戦でもありますよね。
「ですね。しかし起業という緊張のさなかでも、いつでも「今がいちばん楽しい」と思えるのは大きいです。確かに大変なことばかりだけれど、この充実感は独立をしなければ味わうことができない感覚なんだと思っています」

「カントリーワークス」社の設立

▶ご自身の会社名は?
「合同会社カントリーワークス、です」

▶どのような会社でしょう?
「理念は「未来に誇れる田舎仕事=COUNTRY WORKを作る」こと。目先の利益にとらわれず、田舎で 50年、100年後につながる持続的な仕事を創りあげること」

▶素晴らしいですね。
「ありがとうございます、さらには、未来の人が見た時に「この時にこの人たちが、こういう取り組みをしてくれてよかった」と思ってもらえるような、未来の人に対して誇りを持てる仕事を、作って広げていきたいと考えているんです」


(ロゴは再生可能エネルギー/風車をイメージ)

▶発明とも言える「モバイルハウス」を思いついたきっかけは?
「僕が大学時代から解決したいと考えていた社会課題が、田舎の農業の繁忙期の人手不足でした。僕の住む北海道余市地域では、その大きな原因が住居不足にあり、住居がないため、人を呼べない、という現状があったんです」


(シェアビレッジ 初年度のイメージ)

「事業」で社会問題に挑む

▶大きな問題のひとつに「住居」があったと。
「そうです。その住居を用意すると考えた時、真っ先に考えたのは空き家のリノベーションで、実際に家探しや、事業計画書も作りました。しかし…」

▶しかし…?
「余市地域で人を必要とするのは、夏場だけで、冬場の運用方法がどうしても思いつかなかったことや、空き家のリノベーションというもの自体が全国的に行われており、注目を得づらいことを実感したんです。その時に耳にしたのが「余市の近隣のニセコ地域では、冬場にスキー観光の繁忙期があり、家が足りない」という課題でした」



(仲間と手作りで『モバイルハウス』を創りあげる)

『モバイルハウス』という着想

▶そして…!?
「夏に家が必要な余市と冬に家が必要なニセコ、この二つを結び付けられるのは…かつ、全国的にやり尽くされておらず、斬新な事業になり得るものは…未来の住まい方に対して、新しい可能性を提示できるものは…と考え。移動可能で、クールで小さく機能的なライフスタイルを提供する『モバイルハウス』という着想に至ったんです」

▶どうやって1つ目のモバイルハウスを実現できたのでしょう? 資金はどのように…?
「余市に住んでいらっしゃる、事業家でありシェアハウスのオーナーさんが僕らの思いに共感し、ご出資をしてくださいました。この方は、今も僕たちの大きな理解者、協力者で、いろいろな面で相談に乗っていただいています」


(完成したモバイルハウス)

クラウドファンディングに挑戦

▶クラウドファンディングに挑戦した理由は?
クラウドファンディングの挑戦、あれって実は、最大の目的のひとつは事業のPRだったんです」

▶プロモーションという面もあったのですね。
「そうですね。現在はfacebookを中心にPRを行っているのですが、facebookではなかなか長文を読んでもらえないため、プロジェクトへの思いや、至った経緯、将来的な展望などをまとめて理解してもらうのは難しいのが現状がありました」

▶そこでクラウドファンディング、と。
「はい、WEBサイトも同様に、実際にプロジェクトが動き出し、実際の顧客が現れるまでは読んでもらえない傾向があるため、プロジェクト初期にPRをするのであれば、クラウドファンディングが適していると判断しました。あと、実際に運用経費当初の予定よりかさみ、お金が足りなかった、というのもありますけど(笑)」

▶実際にやってみての感想は?
「過去に一度クラウドファンディングで失敗したことがあるため、不安はありましたが…箱を開けてみると、出足から順調で、共感してくれる方が多いことに安心と自信を得ることができました。アクトハウスのスタッフさんも、支援やPRにおいて積極的に応援してくれたのはとても嬉しかったです」

▶そして結果は…?
「開始からわずか一週間で目標を達成し、想定額を大きく上回るかたちでゴールできました。サポートしてくださったみなさまには、本当に感謝しています。いよいよここからは、カントリーワークスが『モバイルハウス』を通じ、地方創生の一翼を担うことで、社会的に意義あるプロトタイプを具現化して続けていきたいと思います」


クラウドファンディング


(目標額を大きく上回り達成)

 

100年後も誇れる仕事を

▶いま「社長」をやってみて、どんなところが大変でしょう?
「いえまだまだ、始まったばかりで、社長の大変さを感じれる段階には至っていないですね、本当にこれからというところです。いまはもう走り続けるのみという(笑)」

▶モバイルハウスの進捗は?
「すでに1棟目は完成させたので、次にニセコ町に設置します」

▶着々と進んでますね。
「余市町では、農業アルバイトの外国人学生の方々が延べ7人滞在してくれました。8~11月中旬は積丹町の牧場でイベント向けに貸し出し、11月下旬からニセコ町で宿泊施設として活用する流れですね」

▶運転においての事業資金面も課題でしょうか。
「先ほどのクラウドファンディングだけでなく、実は、大きいバジェットで支援をいただる投資家の方のサポートもいただけることになりました。本当に感謝です。多くの方々のご支援のもと、事業を運転することができています」

▶カントリーワークスで成し遂げたい夢は?
「50年後 100年後の遠い未来に誇れるような、この仕事があってよかったと思えるような田舎仕事を生み出していきたいです。そして最も進めたい事業は、再生可能エネルギー事業です。カントリワークスのロゴは、再生可能エネルギー、風車をイメージしたものでもありますから」


(シェアビレッジの未来イメージ)

▶再生可能エネルギーへの挑戦も。
「再生可能エネルギーは田舎における農業に並ぶ産業になる可能性がある、と言われているのですが、初期投資の大きさや、短期的な収益性低いことが課題で、中々普及が進んでいないんです」

▶そうなんですね。
「目先の利益を考えず、未来に誇れる仕事をと考えると、再生可能エネルギーの事業化はカントリーワークスの理念に最も即する事業でもあります。長い目で、必ず推し進めていきたいと考えています。事業化のためのアイディアもすでにいくつもストックしてあるんです」


(YAHOO!ニュースでもフィーチャーされた)

アクトハウスで学ぶ「複合スキル」が身を助ける

▶アクトハウスでの学びはいまどのように活かされていますか?
「僕にとっては第一にデザイン。これによりプロモーションや、営業資料のクオリティを自分で高めることができるようになりました。イラストレーターとフォトショップを自在に使えるようになったことが大きいです。ITをプログラミングのみならず、デザインという観点からも学べたのは本当に活きています。デザインはアートの世界のものでなく、こうしてビジネスやマーケティングに直結するスキルである、という気づきももらえました」

▶その次は?
「第二は英語ですね。多少とはいえ話せる自信があると、ビジネスの幅がぐっと広がるというのは、この北海道でも痛感しています。特にカントリーワークスの事業には外国人の方々がかなりの割合で関わってくるので、とても重宝しているスキルです。そして第三にビジネス・マーケティング。事業計画の制作経験、またそれを俯瞰して運営を柔軟にできるようになったのは、代表を務めるうえで大変役立っています」


(全国誌「モノマガジン」からも取材いただく)

▶複数のスキルが身を助けていますね。
「ですね。そしてあと、アクトハウスで学んだ技術・思考により「最悪フリーで仕事ができる」というバックアップも、実は心にゆとりを生んでるんですよ。そういった複合スキルの下支えが、より現在の事業への集中へとつながり、好循環を生み出しています」


(夜も暖かく、北海道でも十分快適に過ごせる)

日本の定規で図らない

▶在学中の想い出は?
「何から話そう…6ヶ月もセブ島にいましたからね(笑) そうですね、勉強ですと、ざっくりとした話になりますが、恵まれた環境と、半年間という決まった期間の中で、密度が高く、日々成長している実感が得られたのが、懐かしいです。むしろ起業してからは無我夢中なのもあり、なかなか手応えが得られていなくて。あの時間は本当に貴重だったな、と」

▶勉強以外では?
「そこも何から話そう…(笑) ブーズクルーズという、船上でテキーラをひたすら飲むパーティーに参加し、ちょっと飲みすぎてしまったのも、今となってはいい想い出、というところでしょうか(笑)」

▶いい想い出(笑)
「ちなみにブーズ(booze)は英語で酒をたくさん飲む、という意味の動詞です。こんな動詞を持つ奴らとまともに飲み合っちゃダメですよ(笑) このパーティー、後悔は尽きなかったですが…そうですね、もちろん決してオススメはしませんよ(笑)」

▶(笑)
「あ、あとバイクを借りてセブの友人と、セブ島を一周したのも良い想い出ですね。セブ島、実はめっちゃ広いですから、あれも相当面白かったですね(笑)」

▶異国の文化に触れた時間もあったんですね。
「せっかくセブ島、フィリピンに来たからには、なんでも日本の定規で図ったり、欧米のイメージと比べたりすることもなく、いろんなものがカオスなセブ島をそのまま楽しんじゃうのが楽しむ秘訣じゃないかな、と思って毎日楽しんでましたね」


(アクトハウス卒業生の藤代さんともモバイルハウスでお仕事)

快適なシェアハウスだった

▶アクトハウスのシェアハウスの感想は?
「フィリピンという環境の中では、驚くほど快適だったと思います。もちろん、南国というお国柄事情により(笑)クーラーや扇風機を消すとすぐ暑くなることや、Wi-Fiが弱くなる時間帯があるなど課題もありましたが(※編集部注:2017年10月よりWi-Fi光回線を導入し改善されました)それらは海外では普通のことなんだと思います。恵まれすぎた日本を出て、むしろ日本を客観視できました。セブ島の生活のなかでは、半年間ストレスなく過ごすことができましたね」


(アクトハウスのシェアハウス)

▶同期では、良い仲間と出会えました?
「出会えましたよ! 今も連絡を取り合っていますし、たまに仕事も一緒にしているんです。今後も長い人生の中で、繋がっていきたいと思える仲間ですね」

どれだけ「体験」できるか

▶これからアクトハウスに挑戦する人にアドバイスを。
「なんだろう、とりあえず外に出て色々挑戦してみると良いと思います。多分、アクトハウスの中で生活していれば、周りが勉強しているんで、ほっといても勉強はするようになるし(笑)成長もできる環境なので、それ以外のところで「どれだけ面白い体験をできるか」が割と大事だと思います」


(全国紙「日本農業新聞」裏一面にも掲載)

▶「体験」がポイントなんですね。
「僕は、貧困問題についてガチで考えたり、フィリピン人の方とお付き合い?したり、かと思えば酒を飲んでる最中になぜかケガしてたり、名物であるヒヨコを食べたりと…まぁ「1人で海外バックパッカー1年」とかいうやつには敵わないけども、ちゃんと勉強しながら、そこそこネタも作れたので、よかったかなぁと思ってますね(笑) こういうのがプレゼンするときなんかに、意外と活きてるんですよ、いやホントに(笑)」

【取材・構成:アクトハウス編集部】

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