エラー解決はAIに投げろ。人間がやるべきは「問いの設計」へ。

「エラーが消えなくて、丸2日悩んでいます」。
もしあなたがプログラミング学習中にこの状態に陥っているなら、それは「努力」ではない。ただの「時間の浪費」だ。 かつては、一つのバグと数日間向き合い、自力で解決することがエンジニアの通過儀礼とされた。その過程で忍耐力や深い理解が得られるという精神論も、あながち間違いではなかったかもしれない。
だが、今は令和であり、AI時代だ。 ChatGPTやClaudeという、地球上で最も優秀なデバッグパートナーが24時間待機している環境で、人間が血眼になってセミコロンの抜けを探すことに何の意味があるのか。
エラー解決という作業は、もはや人間がやるべき仕事ではない。それはAIに「丸投げ」すべきタスクだ。 そして、人間に残された唯一にして最大の仕事は、AIから正しい答えを引き出すための「問いの設計」にある。
デバッグは「知的生産」ではない
厳しい現実を突きつけよう。 初心者がエラー解決に費やす時間の9割は、単純なタイプミスや、バージョンの不整合、構文の勘違いだ。これらはパズルのピースがハマっていないだけの「作業」であり、そこにクリエイティビティのかけらもない。
AIは、この手のパターン認識において人間を遥かに凌駕する。 エラーログをコピーし、AIにペーストする。「このエラーの原因と解決策を教えて」と打つ。 ものの数秒で、修正後のコードと解説が返ってくる。あなたが2日かけて唸っていた問題が、カップラーメンを作るよりも早く解決する。
このスピード感こそが、現代の開発現場のスタンダードだ。 「自力で解決しないと力がつかない」という呪縛を解け。AIを使えば、10倍の速さでエラーを潰せる。つまり、10倍の速さで学習サイクルを回せるということだ。どちらが早く成長するかは、火を見るよりも明らかだろう。
問われているのは「検索力」ではなく「言語化能力」
「では、エンジニアはもう不要なのか?」 もちろん、答えはNOだ。AIは魔法の杖ではない。適当に投げても、適当な答えしか返ってこない。
ここで重要になるのが「問いの設計(プロンプトエンジニアリング)」だ。
ただ「動かない」とAIに言っても、AIは困惑する。 「どのような挙動を期待していて(仕様)」 「現状はどうなっていて(エラー内容)」 「自分は何を試したのか(前提条件)」
これらを論理的に整理し、AIが処理可能な形式で指示を出す。これができて初めて、AIは真価を発揮する。 つまり、エラー解決の主導権は依然として人間にある。「何が起きているか」を正確に言語化できなければ、AIというスーパーコンピュータもただの箱。
アクトハウスが「Logic Prompt」をカリキュラムの柱に据えている理由はここにある。 コードを書く指の動きよりも、状況を分解し、論理的に説明する「国語力」こそが、AI時代のエンジニアの必須スキル。
AIは「How」を教えるが、「What」は決められない
AIにエラーを投げれば、解決策(How)は提示してくれる。 「この関数を使えば直ります」「ライブラリをアップデートしてください」。
しかし、「そもそも何を作るべきか(What)」や「なぜそれを作るのか(Why)」という問いには、AIは答えられない。
「ユーザーにとって使いやすいのはA案かB案か」 「この機能はビジネス的に優先度が高いのか」
こうした判断は、人間の領分だ。 エラー解決のような「正解がある作業」はAIに任せ、人間は「正解のない意思決定」に脳のリソースを全振りする。 この役割分担ができるエンジニアだけが、生産性を爆発的に高めることができる。
AIにデバッグを任せることは、サボりではない。 より高次な、人間にしかできないクリエイティブな仕事に集中するための「賢明な戦略」。
思考停止するな、思考を指揮せよ
エラーが出たら、即座にAIに投げる。 しかし、返ってきた答えをコピペして終わりにしてはいけない。 「なぜそのコードで直るのか?」という理屈を、AIに解説させる。
「今の修正のロジックを、小学生でもわかるように説明して」
そうやってAIを「専属の家庭教師」として使い倒す。 エラー解決の苦しみから解放され、理解する喜びだけを享受する。これがAIネイティブ時代の学習法だ。
泥臭いデバッグで消耗するのはもう終わりにしよう。 あなたはコードの奴隷ではない。
AIという最強の部下を指揮する「設計者」になるために、ここにいるのだから。
著者:清宮 雄(アクトハウス代表) 起業家・ブランドアーキテクト。2014年にセブ島でIT留学の草分けアクトハウスを設立。「ビジネス×テック」をテーマに、時代に左右されない強靭な個の育成=「+180 ビジネステック留学」の戦略・運営を主導。

















