セブ島は治安が悪い? メディアのイメージと実際の生活環境のギャップ

海外への挑戦を志す際、本人以上に周囲(親や友人、会社の上司)が口を揃えて懸念するのが「治安」です。特にフィリピンという国名を聞いただけで、銃、麻薬、スラム街といったセンセーショナルな単語を連想し、眉をひそめる人は少なくありません。
結論から言えば、その認識は「半分正解で、半分間違い」であり、より正確に言えば「情報の解像度が低すぎる」状態です。
確かに日本は世界でも稀有な安全な国です。カフェでPCを置きっぱなしにしてトイレに行ける国は、地球上で日本くらいでしょう。その基準と比較すれば、世界のどこへ行こうと「治安は悪い」ことになります。しかし、メディアが増幅する「危険なスラム街」のイメージと、アクトハウスが拠点を置くセブ島の経済特区(ビジネスパーク)の日常には、天と地ほどの乖離があります。
本稿では、感情論や風評を排し、ファクトと現地のリアルな生活環境に基づいて、セブ島の治安とリスク管理について論じます。これは単なる安全確認ではなく、グローバルビジネスを生き抜くための「危機管理能力(リスクマネジメント)」の講義でもあります。
「フィリピン」と一括りにすることの愚
まず、地理的な認識を正す必要があります。フィリピンは7,000以上の島々からなる国家です。日本のメディアで報道される過激な事件の多くは、首都マニラの一部地域や、政情不安定なミンダナオ島の一部で発生しているものです。これらをセブ島と同一視するのは、東京の犯罪発生率を見て沖縄の治安を語るようなものです。
セブ島は、フィリピン国内でも屈指の観光地であり、外資系企業が集積する経済の中心地です。政府も観光客や駐在員の安全確保には最優先で取り組んでおり、街の空気感はマニラのような張り詰めた緊張感とは異なります。
もちろん、軽犯罪(スリや置き引き)は存在します。しかし、それはパリやロンドン、ニューヨークでも同様です。「海外=危険」という思考停止に陥るのではなく、「どのエリアが安全で、どのエリアが危険か」を見極める「ゾーニング」の感覚を持つことこそが重要です。
アクトハウスの最高立地という要塞
アクトハウスが校舎と住居を構えるのは、セブ島の中心地の周辺エリア。ここは、セブ島の隠れ家的エリアであり、便利な場所ながら閑静で富裕層が好んで居住するエリア。
徒歩圏内にコストコや地元のスーパー、カフェにコワーキング、巨大なショッピングモール「アヤラモール」まで。ここには、スラム街のような雑多な雰囲気はありません。
特筆すべきはセキュリティの高さです。エリアの各所にはガードマンが常駐し、モールの入り口では必ずセキュリティチェックが行われます。アクトハウスの入居するコンドミニアムも同様で、24時間体制の有人警備と防犯カメラが完備されており、関係者以外は立ち入ることができません。
つまり、アクトハウスの参加者は、セブ島の中でも最も安全なエリアで生活を送ることになります。この環境は、学習に集中するために意図的に選定されたものです。無用なトラブルに巻き込まれるリスクを物理的に遮断し、脳のリソースを「Logic Prompt」や「Art&Science」の習得に全振りする。それがアクトハウスの戦略です。
「平和ボケ」からの脱却:リスクマネジメントというスキル
しかし、いくらエリアが安全だからといって、日本と同じ感覚で過ごすことは許されません。アクトハウスでは、生活面における「リスクマネジメント」も、広義のビジネススキルとして捉えています。
・歩きスマホをしない(ターゲットにならない)
・華美な服装や高価な貴金属を身につけない(TPOをわきまえる)
・知らない人からの誘いには乗らない(安易な儲け話に注意する)
・夜間の単独行動は避ける(リスクの確率を減らす)
これらは「怖がって何もしない」ためのルールではなく、「安全に活動範囲を広げる」ための基本動作です。
日本人は往々にして、安全はタダで手に入る空気のようなものだと勘違いしています。しかしグローバルスタンダードでは、安全は「自らの手で確保するもの」であり、コストを払ってでも守るべき資産です。
もしあなたが、自分の財布の管理すらできないのであれば、クライアントの予算や機密情報を扱うプロジェクトマネージャーなど務まるはずがありません。セブ島での生活は、日本特有の「平和ボケ」を治療し、世界標準の警戒レベル(アラート)を身につける絶好の機会でもあります。[ >> アクトハウスの個別相談へ ] 自分の身を守る能力は、スキル以前の前提条件です。
データで見るリスクと、メディアバイアスの正体
「治安が悪い」という言葉の解像度を上げてみましょう。凶悪犯罪(殺人や強盗致傷)に巻き込まれる確率は、留学生が一般的な行動範囲(学校、寮、モール、観光地)を守っている限り、極めて低いのが現実です。
実際にアクトハウスの卒業生で、生命に関わるような事件に巻き込まれたケースは皆無です。発生しうるトラブルの99%は、スマホの盗難や、タクシーのぼったくりといった軽犯罪、あるいは対人トラブルです。これらは「注意不足」や「知識不足」に起因するものであり、適切な防衛策を講じていれば防げるものがほとんどです。
メディアは「安全で平和な日常」をニュースにはしません。「スラムで日本人が被害に」という見出しの方がPVを稼げるからです。このバイアスを認識せず、ワイドショー的な情報を鵜呑みにして「怖いから行かない」と判断するのは、あまりにも機会損失が大きすぎます。
リスクをゼロにしたければ、自宅の部屋から一歩も出ないことです。しかし、それでは何も得られません。リスク(不確実性)を正しく見積もり、許容できる範囲にコントロールしながら、リターン(成長)を取りに行く。これは投資の原則であり、キャリア形成においても同様です。
「安全」を買うか、「安さ」を取るか
セブ島留学の中には、格安費用を売りにするために、治安の良くないエリアや、セキュリティの甘いドミトリーを使用しているスクールも存在します。コストを抑えることは重要ですが、それによって学習の継続性や、最悪の場合は身体の安全が脅かされては本末転倒です。
アクトハウスが「ハイグレードコンドミニアム」にこだわる理由は、参加者の「心理的安全性」を担保するた。
夜、遅くまでコワーキングスペースやカフェで作業をして帰宅する際、街灯のない暗い道を歩かなければならない環境と、住まいがそもそもコワーキングな環境。どちらが学習に没頭できるかは明白です。
住環境への投資は、単なる贅沢ではなく、リスクヘッジであり、パフォーマンスを最大化するための必要経費。
本当の「恐怖」はどこにあるか
最後に問いたいのは、「セブ島の治安が怖い」という感情の正体です。それは本当に身の危険に対する恐怖でしょうか。それとも、「今の居心地の良い環境(コンフォートゾーン)を抜け出すこと」に対する潜在的な言い訳ではないでしょうか。
アクトハウスに参加する「ガチ勢」たちは、治安のリスクよりも、「今のまま何者にもなれずに歳を重ねていくリスク」の方を恐れています。
日本にいても、通り魔に遭う確率はゼロではありません。逆に、セブ島にいても、高い危機管理意識を持っていれば安全に暮らせます。場所の問題ではなく、意識の問題です。
セブ島は、常識的な行動をとっていれば、決して恐ろしい場所ではありません。むしろ、人々の活気に満ち、急成長するアジアの熱気を肌で感じられる、刺激的なフィールドです。
過剰な恐怖心で可能性を閉ざすのか、正しい知識と装備を持ってフロンティアへ飛び出すのか。セブ島の治安を懸念する前に、自分の人生の「守り」に入りすぎていないか、一度点検してみることをお勧めします。
安全な日本で燻っている才能ほど、もったいないものはありません。リスクを恐れず、しかし侮らず、アクトハウスで世界基準のタフさを身につけてください。
著者:清宮 雄(アクトハウス代表) 起業家・ブランドアーキテクト。2014年にセブ島でIT留学の草分けアクトハウスを設立。「ビジネス×テック」をテーマに、時代に左右されない強靭な個の育成に従事。

















