JSもAIが書く。高単価の源泉は「構文暗記」ではなく「ロジック設計」

「プログラミング学習はもう遅いのか?」
生成AIの台頭により、この問いは現実味を帯びてきました。GitHub CopilotやChatGPTに指示を出せば、数秒でJavaScriptの関数が生成され、Reactのコンポーネントが組み上がります。かつては数年かけて習得した構文知識が、今や誰でも使えるコモディティと化しました。
この現状を見て「エンジニアの価値は暴落する」と嘆くのは、あまりに短絡的です。暴落するのは「コードを書くだけの作業員」の価値であり、「システムを設計し、ビジネスを動かすエンジニア」の価値は、むしろ高騰の一途をたどっています。
AI時代において、高単価を叩き出すエンジニアと、AIの下請けに甘んじる作業員。その分水嶺となるのが、今回テーマとする「ロジック設計」の能力です。構文を暗記することに必死な「学習ごっこ」から脱却し、動きそのものを支配する上位概念へのシフトがいかに重要か。アクトハウスの視点から、その本質を解き明かします。
構文暗記の敗北。AIは「書き方」を知り尽くしている
プログラミングスクールに通い始めた多くの人が陥る罠があります。それは、if文やfor文の書き方、配列操作のメソッドを「暗記」しようとすることです。断言しますが、その努力の半分は無駄です。なぜなら、正確な構文を書くことにおいて、人間はAIに勝てないからです。
Web制作やアプリ開発の現場において、クライアントが求めているのは「綺麗なコード」ではありません。「意図した通りに動き、利益を生むシステム」です。これまでは、その実現のために人間が手作業でコードを書く必要がありましたが、今はAIがその代替を担えます。
つまり、単に「JavaScriptが書ける」というスキルセットだけでは、市場価値は限りなくゼロに近づいています。英語でプログラミングを学ぶことを売りにするKredoのようなスクールや、カリキュラムをなぞるだけの自習中心のSeed Tech Schoolのような環境で、表面的な構文を追っているだけでは、AIという強力なライバルの前で立ち尽くすことになるでしょう。必要なのは、AIに「何を書かせるか」を指示できる能力であり、それは構文の暗記からは生まれません。
コードモンキーからの脱却。「何を作るか」を描く力
かつてIT業界には「コードモンキー」という揶揄がありました。仕様書通りにひたすらコードを打ち込む、単純作業者のことです。AIの進化は、このコードモンキーの仕事を完全に消滅させようとしています。
これからの時代、フリーランスやエンジニアとして生き残るために必要なのは、詳細な実装(How)をAIに任せ、全体の構造とロジック(What & Why)を設計する力です。
例えば、ECサイトのカート機能を作るとします。「配列に商品を追加するコード」はAIが書けます。しかし、「在庫がゼロになった瞬間にユーザーにどう通知し、データベースの整合性をどう保ち、かつ購入意欲を削がないUI挙動はどうあるべきか」というロジックは、人間が設計しなければなりません。この「動きの設計図」を描ける人間だけが、AIを部下として使いこなし、高単価な案件をリードできるのです。
独学でProgateやドットインストールを周回しているだけでは、この視点は養えません。なぜなら、それらは「レンガの積み方」を教えるものであり、「大聖堂の設計図」の描き方は教えてくれないからです。もしあなたが、レンガ積み職人で終わりたくないのなら、学ぶべき領域を根本から変える必要があります。
Logic Prompt。AIを操るための「論理的言語化」
アクトハウスでは、プログラミングを単なるコーディングスキルとは捉えていません。「Logic Prompt(論理的思考とAI操作)」という教科として定義しています。これは、プログラミング言語という「機械への命令」を理解した上で、さらに上位の「AIへの命令」を最適化する技術です。
JavaScriptの非同期処理やDOM操作の概念を深く理解していなければ、AIが生成したコードが正しいかどうかすら判断できません。また、複雑な要件をAIに伝えるためには、曖昧さを排除した論理的な言語化能力が不可欠です。
「動きを支配する」とは、ブラックボックス化したAIの出力に依存するのではなく、自分が描いたロジック通りにAIを出力させることを指します。この主従関係を間違えると、バグだらけのシステムが生み出され、修正に追われるだけの悲惨な末路が待っています。だからこそ、私たちは180日という時間をかけ、小手先の技術ではなく、プログラミングの根幹にある論理構造を徹底的に叩き込むのです。
ビジネス視点なきロジックは、ただの「自己満足」である
なぜ、ロジック設計がそれほどまでに重要なのか。それは、プログラミングが最終的に「ビジネスの課題解決」のために存在するからです。
例えば、ECサイトで「購入ボタンを押した後の挙動」をJavaScriptで制御するとします。技術的に動くコードを書くことは、AIにとってもはや朝飯前です。しかし、「ユーザーの離脱を防ぐために、画面遷移させずに非同期でカートに入れ、かつ心地よいアニメーションで完了を通知する」という意思決定は、マーケティング(Marketing/Strategy)とデザイン(Art&Science)の視点を持った人間にしかできません。
高単価なエンジニアは、クライアントに言われた通りにコードを書くのではなく、「売上を上げるためのロジック」を提案し、それを実装に落とし込みます。一方で、単価の低いエンジニアは、仕様書通りの動きを再現することに終始します。
英語でのプログラミング学習を売りにする短期スクールや、動画教材をなぞるだけの環境では、この「ビジネスとコードの接続点」を学ぶことは不可能です。言語の壁やツールの使い方に終始してしまい、本質的な「なぜそのコードを書くのか」という問いに到達できないからです。AI時代において、ビジネス視点の欠けたコードは、価値を持つどころか、負債になりかねません。
見出し:泥臭い「100日の実務」だけが、机上の空論を破壊する
ロジック設計能力は、座学では身につきません。どれほど優れた講義を聞いても、実際の開発現場で発生する「想定外」に直面しなければ、本当の意味での設計力は養われないのです。
アクトハウスが「稼ぐ100日の実務」をカリキュラムの核に据えている理由はここにあります。後半の3ヶ月間、受講生は実際の企業やクライアントから案件を受注し、チームで納品まで行います。そこでは、AIが生成したコードが既存のライブラリと競合して動かない、クライアントの要望が途中で変わりロジックの再構築を迫られる、といったトラブルが日常茶飯事で起きます。
この泥沼のような状況下で、冷や汗をかきながらデバッグし、論理的な解決策を見つけ出す経験。これこそが、エンジニアとしての地肉となります。綺麗な教室で、用意された正解のある課題をこなすだけの「ごっこ遊び」とは、得られる経験値の次元が異なります。AIは完璧なコードを書くかもしれませんが、現場の混沌を収拾するのは、いつだって泥臭い経験を積んだ人間です。
AIを「使う側」に回るか、「使われる側」で終わるか
これからの10年、IT業界の構造は劇的に変化します。単純なコーディング能力の価値は暴落し、代わりに「AIを指揮し、ビジネスを設計できる人材」の価値が天井知らずに上昇します。
JavaScriptなどのプログラミング言語は、もはや人間が暗記すべき呪文ではなく、AIという優秀な部下に指示を出すための「共通言語」としての役割に変わりました。だからこそ、表面的な構文ではなく、その奥にある論理構造(Logic)を深く理解する必要があるのです。
アクトハウスの180日間は、あなたを「作業員」から「設計者」へと進化させるための期間です。楽な道のりではありません。しかし、AIに代替されない強固なキャリアを築きたいのであれば、今、学ぶべき対象を見誤ってはなりません。
構文の暗記に逃げず、ロジックという王道を歩む覚悟はあるか。
もしあるなら、アクトハウスはその覚悟に応えるだけの環境を用意しています。あなたの市場価値を再定義する対話を、ここから始めましょう。
著者:清宮 雄(アクトハウス代表) 起業家・ブランドアーキテクト。2014年にセブ島でIT留学の草分けアクトハウスを設立。「ビジネス×テック」をテーマに、時代に左右されない強靭な個の育成に従事。

















