英語プレゼンの極意。流暢さよりも「構成」と「パッション」で人を動かす

あなたの英語プレゼンが退屈な理由。それは英語力の不足ではありません。「構成」と「熱量」の欠如です。
多くの日本人は、プレゼンテーションの準備を始めるとき、まず「正しい英文」を書こうとします。辞書を引き、文法書をめくり、高尚な単語を並べた原稿を作成し、それを必死に暗記しようとします。そして本番、原稿を棒読みし、発音につまり、聴衆の冷ややかな視線に耐えきれず撃沈する。
これは、完全に努力の方向性を間違えています。
グローバルビジネスの最前線において、聴衆はあなたの「英語のテスト」をしに来ているわけではありません。彼らが求めているのは、流暢な発音ではなく、「有益な情報」と「心を動かすストーリー」です。
私たちアクトハウスがセブ島の現場で叩き込むのは、ネイティブのような英語を話す技術ではありません。中学英語レベルの語彙力であっても、論理的な構成(Logic)と、視覚的な訴求力(Art)、そして相手を動かしたいという強い意志(Passion)によって、聴衆を掌握する「プレゼンテーションの技術」です。
本稿では、英語力に自信がない人こそが実践すべき、グローバルスタンダードなプレゼンの極意を解説します。
流暢さの呪縛を解け。聴衆は「中身」しか見ていない
まず、「英語が流暢でなければ、良いプレゼンはできない」という幻想を捨ててください。
世界を見渡せば、訛りの強い英語で、文法ミスを連発しながらも、聴衆を熱狂させているリーダーはごまんといます。逆に、完璧なクイーンズイングリッシュを話すが、内容が空疎で退屈極まりないプレゼンも山ほどあります。
美しい箱よりも、中身の黄金
プレゼンテーションとは、プレゼント(贈り物)です。
いくら包装紙(英語の発音や文法)が美しくても、箱の中身(提案内容やメリット)が空っぽであれば、相手は失望します。逆に、包装紙が多少破れていても、中に黄金が入っていれば、相手は狂喜します。
ビジネスにおいて重要なのは、当然「黄金」です。
「このプロジェクトはいくら儲かるのか」「この課題をどう解決するのか」。聴衆が知りたいのはこの一点のみです。そこに集中せず、自分の英語の下手さを隠すことにリソースを割いている時点で、あなたは聴衆(顧客)の方を向いていません。その「自意識」こそが、プレゼンを失敗させる最大の要因です。
スティーブ・ジョブズの英語は「中学レベル」
伝説のプレゼンター、スティーブ・ジョブズの英語を分析してみると、驚くほどシンプルな単語ばかり使っていることに気づきます。”This is amazing.” “Incredibly simple.” “One more thing.”
難しい構文も、難解な専門用語もほとんどありません。しかし、彼の言葉は強烈に刺さります。
なぜか。それは「Simple is Best」を徹底しているからです。
難しい単語は、ノンネイティブの聴衆にとって理解の妨げになります。誰にでもわかる中学レベルの単語(Plain English)を使うことは、英語力不足の妥協ではなく、実は「最も伝わりやすい」という高等な戦略なのです。アクトハウスの生徒たちも、最初は難しい言葉を使いたがりますが、私たちはそれを削ぎ落とし、「5歳児でもわかる英語」にするよう指導します。それが、グローバルコミュニケーションの鉄則だからです。
構成が9割。英語の弱さを「ロジック」でカバーする
英語が苦手なら、なおさら「構成(Structure)」に命をかけるべきです。
日本語のプレゼンでやりがちな「起承転結」は忘れてください。結論を最後に持ってくるスタイルは、英語圏では「何が言いたいのかわからない」と一蹴されます。
■H3:結論から語る「PREP法」の徹底
英語プレゼンの基本は、結論ファーストです。
①Point(結論):
I propose A.(私はAを提案します)
②Reason(理由):
Because…(なぜなら…)
③Example(具体例):
For example…(例えば…)
④Point(再結論):
Therefore, we should do A.(だからAをやるべきです)
この型(フレームワーク)に、中学英語を流し込むだけです。
「I think… maybe…」と自信なさげに話し始めるのではなく、冒頭の10秒で「今日のゴール」を宣言する。これだけで、聴衆は「この人は何の話をするのか」というメンタルモデルを構築でき、安心して話を聞くことができます。
英語力が低い人ほど、この「型」に忠実であるべきです。型があれば、次に何を話すべきか迷うことがなくなり、心理的な余裕が生まれます。アクトハウスでは、このロジカルシンキングと英語をセットで学ぶことで、迷いのないアウトプット能力を養います。
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「ナンバリング」が道標になる
もう一つのテクニックが「ナンバリング(番号付け)」です。
「There are three reasons.(理由は3つあります)」と最初に宣言してしまうのです。そして、「First… Second… Finally…」と順序立てて話す。
これには強力な効果があります。
聴衆は「あといくつ聞けばいいのか」がわかるため、集中力が持続します。そして話し手自身も、話が脱線するのを防ぐことができます。接続詞(Moreover, Howeverなど)を多用して流暢に見せる必要はありません。「First, Second, Third」というシンプルな道標(サインポスト)を置くだけで、あなたのプレゼンは劇的にわかりやすく、知的に見えます。
Art & Science。視覚情報で言葉の壁を破壊する
アクトハウスのコンセプトである「Art & Science」。プレゼンにおいて「Art(デザイン・視覚)」は、英語力を補完する最強の武器となります。
スライドは「カンペ」ではない
多くの人が間違いを犯すのが、スライドに「話す内容をすべて文字で書く」ことです。そして、背を向けてそれを読み上げる。これは最悪です。
スライドは、言葉では伝えきれないイメージを補強するためのものです。
1枚のスライドに、1つのメッセージ(One Slide, One Message)。文字は極限まで減らし、高品質な画像、直感的なグラフ、洗練された図解を使う。
「This graph shows the sales growth.(このグラフは売上の伸びを示しています)」
たったこれだけの英語でも、右肩上がりのグラフが背景にあれば、言いたいことは100%伝わります。視覚情報は言語の壁を越えます。デザインスキルがあれば、複雑な説明を省略し、ビジュアルで相手を納得させることができるのです。
ノンバーバル・コミュニケーションの力
言葉以外の要素(ノンバーバル)も「Art」の一部です。
アイコンタクト、ジェスチャー、声のトーン、そして「間(Pause)」。
特に日本人は、沈黙を恐れて「Ah… Um…」とフィラー(埋め草)を入れがちですが、堂々と沈黙することで、重要なポイントを強調できます。
自信満々に立ち、大きなジェスチャーで、シンプルな英語をゆっくり話す。これだけで、あなたのプレゼンは「英語が苦手な人の弁明」から「堂々たるリーダーの演説」へと変わります。アクトハウスでは、こうした立ち居振る舞いも含めて、プレゼンテーションを「総合芸術」として指導します。
テクニックを凌駕する「Why」の熱量
ロジックとデザインで土台を作ったら、最後に魂を吹き込むのが「パッション(熱量)」です。
精神論に聞こえるかもしれませんが、これは脳科学的にもマーケティング的にも正しいアプローチです。人は「論理」で納得し、「感情」で動く生き物だからです。
どんなに流暢な英語で、どんなに綺麗なスライドを見せられても、話し手の目が死んでいたら、聴衆の心は動きません。逆に、たどたどしい英語でも、汗をかきながら、身を乗り出して「なぜこれをやる必要があるのか」を訴える姿には、人を巻き込む引力が発生します。
機能(What)ではなく、信念(Why)を語れ
サイモン・シネックの「ゴールデン・サークル」をご存知でしょうか。優れたリーダーは「What(何をするか)」ではなく「Why(なぜするか)」から語るという理論です。
英語プレゼンにおいても、これは鉄則です。
「このアプリにはこんな機能があります」という説明(What)は退屈です。
「私は、この世界のこの課題を解決したい。だからこのアプリを作ったのです」という信念(Why)は、言葉の壁を越えて共鳴を生みます。
アクトハウスの生徒たちは、自身のプロジェクト発表において、この「Why」の言語化を徹底的に求められます。英語の文法チェックをする前に、「あなたの原動力は何か?」「誰を救いたいのか?」を問い詰めます。その根源的なメッセージさえ固まれば、あとは中学英語の単語を当てはめるだけで、驚くほどパワフルなプレゼンになるからです。
原稿を捨て、聴衆の目を見ろ
「間違えてはいけない」という恐怖心が、あなたを原稿に縛り付けます。しかし、原稿を読んでいる間、あなたは聴衆との接続を切断しています。
多少間違えてもいい。単語が出てこなくてもいい。その代わり、聴衆一人一人の目をしっかりと見て(Eye Contact)、語りかけてください。「あなたに伝えているんだ」という意思表示は、言葉以上に信頼を生みます。
完璧な朗読よりも、不器用な対話。グローバルビジネスの現場で求められているのは、AIのような正確さではなく、人間としての「実存感」です。アクトハウスが育てるのは、原稿を読むオペレーターではなく、自分の言葉で未来を語るリーダーです。
180日間の「公開処刑」が、鉄の心臓を作る
プレゼン力は、本を読んでも身につきません。場数です。それも、ただの練習ではなく「失敗して恥をかく」経験の数です。
心理的安全性の高い「実験場」
アクトハウスの半年間は、ある意味でプレゼンの連続です。
制作物の発表、チームでのディスカッション、クライアントへの提案。そこでは、メンターや同期からフィードバックが飛び交います。
この、身内による「愛のあるレビュー」を浴び続けることが重要。日本人は批判や批評を恐れますが、アクトハウスという守られた環境(サンドボックス)でなら、何度失敗しても致命傷にはなりません。ここで冷や汗をかき、恥をかき、修正するサイクルを何十回と回すことで、本番環境でのプレッシャーに対する耐性がつきます。
「英語で失敗すること」への免疫ができれば、もう無敵です。あなたは、どんな国に行っても、どんな大物を相手にしても、堂々と自分の意見を言えるようになります。
実務案件という「本番」の重み
そしてコース後半の「稼ぐ実務」では、本当のクライアントに対してプレゼンを行います。
ここでは、失敗は「失注」や「クレーム」に直結します。甘えは許されません。しかし、このヒリヒリするような緊張感の中で、必死に準備し、自分の提案が採用され、感謝された時の喜びは、何物にも代えがたい成功体験となります。
「自分の英語と提案で、ビジネスが動いた」。
この確かな手触りこそが、あなたを真のグローバル人材へと進化させます。TOEICのスコアが何点上がったかなど、この経験の前では些末な問題です。
言葉は「伝える」ためにある。飾りではない。
英語プレゼンを難しく考えてはいけません。
それは「着飾ること」ではなく、「裸になること」に近い行為です。
無駄な修飾語を削ぎ落とし、ロジックを磨き上げ、自分の情熱をストレートにぶつける。そこに、高度な文法知識は必要ありません。必要なのは、伝えたいという強い意志と、それを支える中身(スキルと実績)だけです。
アクトハウスは、英語学校ではありません。
英語を使って、デザインを使って、プログラミングを使って、自分の人生とビジネスを切り拓くための「武器」を配る場所です。
もしあなたが、流暢な英語を話す評論家ではなく、拙い英語でも人を動かす実務家になりたいのなら。
セブ島の地で、その第一声を上げてみませんか。
あなたの「Why」を聞ける日を、楽しみにしています。
著者:清宮 雄(アクトハウス代表) 起業家・ブランドアーキテクト。2014年にセブ島でIT留学の草分けアクトハウスを設立。「ビジネス×テック」をテーマに、時代に左右されない強靭な個の育成に従事。

















