FigmaとCanvaで完結。ビジネス速度を最大化する「合理的」デザイン戦略

「デザイナーになるなら、知るなら、まずはAdobe社のPhotoshopとIllustratorを極めなければならない」
もしあなたが、この「古き良き常識」を信じて、高機能すぎるソフトの操作習得に数百時間を費やそうとしているなら、一度立ち止まる必要があります。もちろん、Adobe製品は素晴らしいツールであり、業界の標準です。しかし、ビジネスの現場、特にWebやアプリ、マーケティングの最前線において、求められる「正義」は変わりつつあります。
それは「芸術作品を作ること」ではなく、「ビジネスの速度(Velocity)を最大化すること」です。
アクトハウスでは、重厚長大なソフトに固執する職人気質よりも、FigmaやCanvaといった「軽量かつ高速なツール」を使いこなし、圧倒的なスピードでアウトプットを出し続けるスタイルを推奨しています。これは手抜きではありません。AI時代における、極めて合理的かつ戦略的なデザインへのアプローチです。
本稿では、なぜ今、FigmaとCanvaが「ビジネステック人材」にとって最強の武器となるのか。その理由と、これらを組み合わせた合理的なデザイン戦略について論じます。
「職人」ではなく「設計者」のためのFigma
まず、Web・UI/UXデザインの領域において、Figmaは完全に覇権を握りました。その理由は明白です。Figmaは「お絵かきソフト」ではなく、「ロジック構築ツール」だからです。
従来のPhotoshopは、一枚のキャンバスに絵を描く感覚でした。しかし、Figmaは違います。「Auto Layout(オートレイアウト)」や「Component(コンポーネント)」といった機能は、HTML/CSSのコーディング構造そのものです。マージン(余白)を数値で管理し、要素の並び方をルール化する。これはデザインというより「設計(アーキテクチャ)」に近い作業です。
アクトハウスが掲げる「Art & Science」のうち、Figmaはまさに「Science(論理)」を体現しています。
感性でなんとなく配置するのではなく、論理的なルールに基づいてデザインシステムを構築する。だからこそ、エンジニアへの引き継ぎ(ハンドオフ)もスムーズであり、修正が発生しても一瞬で全体に反映できます。
また、ブラウザ上で動作し、URL一つでチーム全員がアクセスできる「同時編集機能」は、コミュニケーションコストを劇的に下げます。重たいファイルをメールで送り合い、「どれが最新版かわからない」と迷う時間は、現代のビジネスにおいて許されないロスです。
Figmaを使うということは、デザインを「個人の作品」から「チームの資産」へと昇華させることを意味します。アクトハウス生は、このツールを通じて、デザインスキルだけでなく、チーム開発の作法とシステム思考を学びます。
Canvaは「素人向け」ではない。プロの「時短兵器」だ
次にCanvaです。「あんなの素人が使うテンプレツールでしょ?」と鼻で笑うクリエイターがいたら、その人はビジネスセンスが欠落しています。
プロフェッショナルとは、クライアントの課題を「最短・最良」で解決する人のことです。
例えば、SNSの投稿画像や、社内プレゼン資料、簡単なバナー制作。これらをPhotoshopでゼロから作れば1時間かかるところを、Canvaなら5分で80点〜90点のクオリティで仕上げられます。浮いた55分を、より本質的な戦略立案や、高度なクリエイティブが必要な箇所に投下する。これがプロの時間の使い方です。
さらに、Canvaには強力な「共同編集」と「運用移管」のメリットがあります。
納品後、テキストや写真をクライアント自身で修正したいという要望は頻繁にあります。Photoshopデータを渡しても、クライアントは開けません。しかし、Canvaのリンクであれば、誰でも直感的に編集できます。
「運用は自社でやりたい」というクライアントに対し、Canvaでテンプレートを作って納品し、使い方のレクチャーまでパッケージにして提供する。これは、アクトハウスの「Marketing/Strategy」の観点からも、非常に顧客満足度の高いビジネスモデルとなります。
Adobeが必要な時、不要な時
誤解のないように言っておきますが、Adobe製品(Photoshop, Illustrator, After Effects等)が不要になったわけではありません。高度な写真合成、精密な印刷物の入稿データ作成、複雑な映像制作には、依然としてAdobe一強です。
しかし、アクトハウスがターゲットとする「Web・IT・マーケティング」の領域において、仕事の多くはFigmaとCanvaで完結します。
重たいソフトを起動し、複雑な機能を思い出している間に、FigmaとCanvaを使いこなすライバルは、すでにプロトタイプを作り終え、クライアントの合意を取り付けているでしょう。
重要なのは「使い分け(ゾーニング)」。
ここぞというキービジュアルやロゴ制作にはIllustratorを使い、日々のUI改善やマーケティング資材にはFigmaとCanvaを使う。この判断基準を持っていることが、ビジネステック人材の条件です。
もしあなたが、ツールの選定基準を持たず、なんとなく業界の慣習に従っているだけなら、それは思考停止。
ツールは宗教ではありません。目的を達成するための手段です。
デザインも「Reader/Reviewer」の時代へ
前述した「AI時代はWriterからReader/Reviewerへ」という思想は、デザイン領域にも当てはまります。
FigmaにはAIプラグインが次々と登場し、テキスト指示だけでワイヤーフレームやUIデザインが生成されるようになっています。Canvaの「Magic Design」も同様です。
これからのデザイナーの仕事は、ゼロから四角形を描くことではありません。AIやテンプレートが生成したデザイン案に対し、「ブランドのトーン&マナーに合っているか」「UX(ユーザー体験)として正しい導線か」をジャッジし、微調整(レビュー)することです。
ここでも必要なのは、審美眼(Art)と論理(Science)です。
「なぜこの色なのか」「なぜこの配置なのか」を言語化できる能力がなければ、AIの出力に流されるだけになります。
アクトハウスでは、FigmaやCanvaといったモダンなツールを使い倒しながら、その根底にある「デザインの原理原則」を徹底的に叩き込みます。ツールがどれだけ進化しても、それを評価する「目」と「脳」は、人間が持ち続けなければならないからです。
ビジネス速度を最大化するポートフォリオ
アクトハウスの後半3ヶ月の実務期間において、FigmaとCanvaの組み合わせは最強の武器となります。
チームでFigmaを囲み、リアルタイムで議論しながらUIを組み上げる。
マーケティングチームはCanvaで広告クリエイティブを量産し、A/Bテストを高速で回す。
このスピード感こそが、スタートアップやWebビジネスの現場のリアルです。
「Photoshopが使えます」というアピールよりも、「Figmaでデザインシステムを構築し、開発工数を20%削減しました」「Canvaを活用してクリエイティブ制作時間を半減させ、運用の内製化を支援しました」という実績の方が、経営者には響きます。
重厚なソフトのライセンス料と、ハイスペックPCへの投資、そして習得にかかる膨大な時間。
それらをショートカットし、最短距離で「ビジネスに貢献できるデザインスキル」を手に入れる。
それが、アクトハウスが提案する「合理的」なデザイン戦略です。
あなたは、道具に使われる職人になりたいですか?
それとも、道具を使いこなし、ビジネスを加速させる設計者になりたいですか?
答えが後者なら、アクトハウスはあなたのための場所です。
著者:清宮 雄(アクトハウス代表) 起業家・ブランドアーキテクト。2014年にセブ島でIT留学の草分けアクトハウスを設立。「ビジネス×テック」をテーマに、時代に左右されない強靭な個の育成に従事。

















