留学はいよいよオワコンに? 「英語」はガリ勉しない時代へ。

留学はいよいよオワコンに?

巨大化した留学産業

長年、ほんとうに長年、大きな課題となっている「日本人の英語力」。

それは日本が抱え続ける難題であり、同時にコンプレックスの対象でもあり続けています。グローバル化が急速に進む昨今においても、日本が英語で出遅れている現状はまったく変わりません。

そして英語=コンプレックスならば、それはビジネスの源泉ともなります。語学ビジネスという大きなくくりで言えば、この市場は「約8,500億円」前後で推移しており、マーケットとしては安定しているとも言えるでしょう。

2007年、レアジョブ社がオンライン英会話としてスタートし、2013年にはDMM社が参入。

またここセブ島では、次々と新しい語学学校が立ち上がっています。

セブ島では次々と新しい語学学校が

英語力 帰国をしたら 元通り

これら「英語産業」は留学学校の本体のみならず、生徒紹介をするエージェントや旅行代理店、航空会社などなど留学に付随する各業界に恩恵をもたらしてきました。

約10年の義務教育を持ってしても、どうしても英語を話せるようにならない永遠の課題に向かい、英語留学という産業は長きに渡りその解決に取り組んできています。

しかしなかなか英語力の向上という問題は、留学だけでは解決しきれない現状も認めざるを得ません。

日本に帰国すれば英語ゼロの生活が待っていることもあり、せっかくの英語力はみるみる低下する現実もあります。

英語力はみるみる低下

ずっとGoogleは挑んでいた

いったいどうすれば、日本人は英語を身につけることができるのでしょう。

汗をかいて勉強する道以外、方法はないのでしょうか。

こんな時、なんでもかんでもITで解決できる道はないか考えてみるのは意外と有効です。

そんなITソリューションのひとつに「言語」が上がってきたのは、この数年のこと。「機械翻訳が言葉の壁をなくす未来」が現実味を匂わせました。

その筆頭はやはり、Google。

一部のネットユーザーや学者たち、また海外事業者から注目をされ続けていた「Google翻訳」です。

Googleは翻訳精度が低い段階からも果敢に「多言語翻訳」に挑み続けていました。ニューラルネットワーク(※ヒトの脳機能の特性を計算上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデル)の進化により、そのレベルを格段にアップさせています。

スマホの画面をかざすだけで外国語翻訳を画面に映し出すリアルタイム機能、検索時や表示されるページ、Gmailにも翻訳機能を実装し、世界中の「話し言葉」「メール言葉」を吸い込み翻訳精度を上げています。もちろんこれは英語のみならず世界の多言語に対応しています。

その進化の過程としては、2015年にいったん終了したGoogleグラスなどの辛酸をなめつつも、格段に向上中。

Google翻訳を使えば、Gmailに届く英語のメールもすぐに訳すことができます。その訳はそのまま使えないことも多いですが、中高レベルの英語力でアレンジをかければ、非口頭コミュニケーションは簡単にできる状態にはなっています。

Google翻訳のすごさ

熱が高まる翻訳市場

ちょうど、きたる2020年のオリンピック開催へ向け、日本で「翻訳」に特化したサービスが開発されています。そのなかでも『ili』(イリー)は注目に値するプロダクト。

話しかけるだけで言葉が翻訳され、相手に「英語・中国語・韓国語」の3語で伝えることができます。(2018年1月現在)

まだまだサービス自体やその翻訳精度もこれから発展していくものと思われますが、このようなガジェットのニーズが高まっていくのは時間の問題でしょう。Wi-Fiがなくとも使えるというポイントも大きなメリットです。
 


iliは注目の翻訳プロダクト


ヒトが機械に歩み寄る

何年もかけて英語がペラペラになるのを目指すでなく、テクノロジーに任せるという考え方。

とはいえ日本語ならではの「主語なし」「行間に含まれる意味合い」などを加味すると、機械が全ての英語翻訳を100%申し分なくできるとは到底約束できない状態は、まだまだ続くと言われています。

一方で、いまこの現時点ですでに「機械に翻訳させるのは頼りない」という疑いは、時代遅れと言えるかもしれません。

多くの日本人が自らの英語力を冷静に省みた場合「とりあえずAIとやらに任せておいた方がマシかも」という考えに至るのは想像に難くないと考えます。

前述のとおり、簡単な文書やメールなどはGoogle翻訳を通した方が、意味が伝わる英文を作成することができます。ビジネスメールもわりと容易に作成することが可能となってきました。

機械の英語翻訳の精度

翻訳はマイクロソフトも攻めている

Googleだけでなく、同じく成長途中ながらWindowsのマイクロソフトも攻めています。

同社の2つの翻訳サービスを取り上げてみます。

まずは、パソコン会議の代表格「スカイプ」。

そのスカイプにある、音声認識用と機械翻訳用の2つのAIを駆使した「スカイプ翻訳」も夢は広がります。

本サービスにおいては、日本マイクロソフトから「通訳者のような情緒豊かな翻訳能力は機械翻訳にはなく、その利点はスピードである」という旨のコメントも出ており、大風呂敷を広げない発展途上の段階を伺わせます。

しかしパソコンの画面でリアルタイムに言語がテキストとしても表示され変換されるというのは、スカイプならではのアプローチ。

まだまだこれからのサービスでありつつも、リアルタイム翻訳が着々と一般へのアプローチを始めていることを伺わせます。

↓↓ こちらの動画は、その同時翻訳のイメージビデオ。異文化コミュニケーションの次なる未来を感じさせます。
 

 

アプリも進化

そしてもうひとつは、60以上の言語に対応する「マイクロソフト・トランスレーター」。

海外サイトの情報はテキスト翻訳、飲食店ではメニューを画像翻訳という機能性はもちろん、音声翻訳も。

ビジネス英語や、プレゼンテーション時のリアルタイム翻訳にも挑んでいます。

むしろこれからの時代は、英語を勉強しながらも、正しい5W1Hの日本語を話すスキル(=機械に正しく翻訳させる)が重要視されてくるかもしれません。

まずは日本語で、ロジカルで一文一文が短い文章で話すこと、書けること、ができれば。機械翻訳とのマッチングは高まってくるでしょう。
 

 

変化は突然やってくる(ように見える)

マーケティングのみならず、ビジネス界隈、ことアジアにおいて「エクスポネンシャル」という言葉が聞かれるようになってきました。

正確には指数関数、という訳になりますが、砕けて言えば「あり得ないほどの急激かつ爆発的な変化」と言い換えることができます。

この言葉はスタートアップ界隈のみならず注目されつつある言葉。

爆発的な変化が世の中にもたらされる直前まではトボトボと進化していた技術。それが、あるタイミングを機に大爆発をおこし、一気に市場を塗り替える、という現象です。

エクスポネンシャルなIT革命

エクスポネンシャル

過去の分かりやすい例で言えば…「写真」。

テクノロジー/ITの進化により、町の写真屋さんで写真を現像する文化がなくなりました。自宅のパソコンでプリントアウトすることが普通になったからです。

それだけでなく、もはや写真をプリントさえもせずスマートフォンを介し、クラウドやインスタグラムにアップしていくことが主流となっています。

自分のアルバムを、無料で、いくつもスマホ内で閲覧できる利便性。何か特別なことでもない限り、写真アルバムや額縁の必要性も激減しました。

結果的に、写真屋さんやデジカメ市場、アルバム市場さえも急激に縮小し、写真業界の地図が塗り替えられたことは多くの人々がリアルタイムで経験したことと思います。

この数年の、一瞬にも思える、急激な変化。これが「エクスポネンシャル」現象です。

エクスポネンシャル、指数関数的な成長

激変には前兆が

いつの時代も進化は早く、突然訪れたように見えるもの。

しかしそこに至るには、事前にいくつもの兆候があります。

水面下、あるいは開発途中で順次リリースされていくイノベーションは、その業界内ではニュースになるものの、一般には浸透しません。市場は常に「完成品」を求めるからです。「あり得ないほどの急激かつ爆発的な変化」をするには、技術や製品が一定以上で成熟している必要があるのです。

先程の例「写真は写真屋さんで現像する」という時代は突然終わったかのように見えますが、実はその前に着々と一部の企業によってデジタルカメラの開発が行われていた背景があります。

さらにその先を見ている人たちはデジカメでなく、スマートフォンやクラウド、SNSの可能性を模索していました。この時代にリアルタイムで生きている我々は、こういった激変をいくつも体感してきています。

そして次に、大きな産業の歴史が塗り替えられるもののひとつが「言語」だと考えられています。

これからは「英語学習」はなくなるのでしょうか。「留学」もなくなるのでしょうか。

「留学」もなくなるのか

停滞と安住は退化

古い業界はせっかくできた利益構造を守るため、時代に遅れようともそれを自ら発することはありません。

業界の維持継続が目的になり、当初あった課題解決のための手段を講じなくなります。英語業界、留学業界は大丈夫でしょうか。

現実としては、まだまだ英語を勉強するには読み書きはどうしても必要で、これからもまったく不必要になることはないかもしれません。

英語の勉強そのもの全てがいらなくなるというのは、現在の翻訳精度を考えると懐疑的な人も多いでしょう。そして実際、このテクノロジーは進化の過程にあります。ただし「過程とは爆発前の前兆」とも言えるのです。

最近よく話題になる「AIが発達したらなくなるであろう仕事」。このなかに「翻訳業」もチャートインしてきており、そこには未来への確かな予見が込められていると察します。もちろん本物の翻訳家の方からしたら一笑に付す事柄かもしれませんが、ガチの翻訳に求める精度と、一般の仕事や生活や旅行に求める精度はそれぞれ異なるため、翻訳の在り方は激変前夜と言い換えることもできるでしょう。

ナポレオン・ヒル曰くの「思考は現実化する」ではないですが、数年内に翻訳精度にはエクスポネンシャルな大変革が訪れ、語学に関わるビジネスは大きな転換を迫れられると考えます。

そしていつの時代もそうですが、地図が塗り替えれてからではもう遅い。

その時代に備えて何ができるか、AIやIoTと共存し、その構造や特長を理解することが、次なる英語学習のステージなのではと考えます。

次なる英語学習のステージへ

本質をずらさない

凝り固まった業界は停滞を安住と差し違え、衰退することが多くの事例で見られます。筆者自身も留学業界にいる身として、来たるべくシンギュラリティ(※技術的特異点。人工知能の急激な技術の成長が、人類に計り知れない変化をもたらすという仮説)に備える準備を進めています。

また蛇足ながら書いておくと、留学業界が生き残るための語学留学の売りとして「出逢い」「体験」を入れ込みすぎても、それはナンセンスと考えます。

出会いや体験の比重を重要視して留学を推すならば、格安航空で一人旅でもしたほうが遥かに安く、日常英語くらいは修得できるからです。

昼間は授業ばかりの留学を「人との出会い」「海外体験」に置き換えていても、それは語学学習という本丸から論点をずらしているように取られかねません。

昨今はビジネス論が「体験」「UX」「共感」「信用」「信頼」という、いわば無敵かつ可視化しにくいもの、すなわち評価基準が曖昧なものにとりあえず着地する傾向にあります。なんでもかんでもをこれらに結びつけることは本質を見失うことにつながると考えます。

留学業界が生き残るために

正しく話せる重要性

これまで見てきたように、英語をまったく勉強しないでいい時代とまではいかないまでも「英語をガリ勉しないで済むかもしれない時代」が目の前に来ています。市場は数年内に塗り替えられるでしょう。

英語+機械学習において必要なのは、数万の単語を覚えることよりも「小学生レベルの基礎学力」と「言いたいことを論理的に整理する力」になる、言葉の構成力「5W1H」が最重要視されてくると考えます。

それはつまり、翻訳機やツールがキレイに翻訳できる日本語を話せたり、書けたりすることが大切になってくるということです。

英語をガリ勉しないで済む時代も近い

ヒトも機械も進化する

我々の生活の至るところで「ヒトが機械に合わせる」場面が日常化しています。

自動改札でも、カードのかざし方が悪ければ、人間がもう一度ゲートからやり直すのが日常化しています。スマホやパソコンに入力するスケジュール管理ひとつ取っても、人間が入力を間違わないことだけが重要で、機械側がスケジュールを勘違いして記憶することは想定されません。

これは、今は時代の過渡期にあり、人間が機械に合わせてあげているフェーズ、と言い換えることもできるでしょう。そしてどちらが優位、どちらが偉いでなく、ヒトと機械の距離はAIとIoTの進化によって急接近しつつあるのは確かです。

英語を覚えるために何年、何時間も勉強しない、テクノロジーを上手に活用しまくる時代へ。

やがて、1日に何時間も英語を勉強するような根性留学自体は過去の産物になるかもしれません。オンライン英会話も同じく、国内の英会話教室も覚悟のときが近いとも考えられます。もちろん当社もその例に漏れません。

英語にコンプレックスを感じたり、大金をはたかずに済む時代が目の前まで来ています。

 
著者:清宮 雄
フィリピン・セブ島在住。起業家・海外フリーランスを輩出するIT留学「アクトハウス」代表。アクトハウスについてはこちら。

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