プログラミングと英語だけでは足りない。次世代の最重要スキルとは?

遅れている日本のプログラミング教育

みなさん、ご存知でしょうか。

2016年「IT人材の不足」が経済産業省により発表されました。

そして内閣府からも「人工知能(AI)技術戦略」として「AI人材基盤の確立は急務であるにも関わらず、検討が遅れており早急な具体策の検討が必要」との見解と資料が公開されました。

内閣府の動きに合わせるように、最近ではWEB上でもプログラミングの簡易的な学習サイトやIT留学など、少しづつですが「プログラミング熱を高めなければ」という動きが出てきています。

IT先進国アメリカの動きは?

一方で世界はというと、アメリカではそもそもプログラマーは大学でコンピュータ工学を修学した人がなることができる職種で、日本のそれとは比較にならない「専門職」というステイタスが根付いています。

この、日本でIT人材育成が本格的に始動する動きについては「20年遅い」などというネガティブな意見が多いことも確かです。これには意地悪な揶揄も含まれているとも言えますが、アメリカのように早々にコンピューター学習の土壌を培ってきた動きの速さと比較し「日本は今頃か…」というため息にも似た感想なのかもしれません。

アメリカはオバマ大統領時代でさえも「全ての子どもたちにコンピューターサイエンス」という号令のもと、40億ドルものお金を幼稚園児から高校生まで教育予算に追加しているほどです。

また、単にエンジニアのざっと年収を見ても、日本のエンジニアは平均350〜500万円程度、アメリカでは平均800〜1000万円以上という差があり、いかにその扱いに開きがあるかがわかります。

2020年からいよいよ義務教育でも

しかし海外でのプログラミング教育が遥か先を走っているとはいえ、この情報化社会において先進国のひとつである日本が立ち止まっているわけにはいきません。

遅ればせながらでもなんでも、いよいよIT人材の育成に向けて政府が本格的に動き出しました。代表的なのは2020年から始まる小学校からのプログラミング教育の義務教育化。同様に英語も始まり、グローバル社会のなかで日本が再びステイタスを取り戻すための仕組みづくりが始まっています。

この流れのなかで、どうしても「内閣府発表」での「プログラミングと英語の必要性・早急な技術の育成」という方針を知ると、その2つができれば未来のスキルがゲットできて安心、と見えてくる人もいるかもしれません。Web上でもそのような打ち出しをする学校や教材も増えてきています。

しかし、本当に「プログラミングと英語」ができたら安泰なのでしょうか。

プログラミングだけできる人でいい?

ひとつ視点を変えてみると、見えてくることがあります。

それはプログラミングも英語も「技術」であり、目的を叶えるための「手段」であること。

例えば「GoogleやAppleなどの世界規模のIT企業に入社したい」あるいは「アプリを開発し世の中をもっと便利にしたい」「通訳になって世界中を飛び回りたい」そしてそれらを成し遂げることで得られる《充実した人生》。そういった未来や夢の実現のために、プログラミングや英語という手段が有効である、という見方です。

プログラミングがいくら好きで仕方なくても、毎日同じデスクに座らされ、言われたことだけやれと抑え込まれ書くコードは苦痛でしかないでしょう。しかしこれがいわゆる「プログラミングだけできる人」の運命とも言えます。自分から切り拓くことができないので、受け身でいるしかないのです。

「自己決定」できる人生が「幸福感」を左右する

自分から切り拓くことができない人生、それは何を示すのでしょうか。

「独立行政法人経済産業研究所」に掲載された研究データでは「自己決定」できる人生ほど幸福度が高いという結果が出ています。所得、学歴、健康、人間関係、自己決定を説明変数とした日本人2万人への本調査では、人生のなかでの「自分の裁量」の重要度が見えてきます。

技術があれば何でもできる、幸せになれる、世の中を変えられるという盲信のもと、単なる「技術屋」として指示どおり動くだけの人生にハマった場合。いくら収入が上がっても幸福とは程遠い人生が待っているリスクがあるのです。


『幸福感と自己決定―日本における実証研究』より
 

技術だけではやがて行き詰まる

技術の盲信だけでスキルアップしてきたままの起業も、ことごとく失敗をたどっています。

プログラミング「だけ」ができる人がつくったサービスの倒産率は軒並み高く、技術優先、趣味優先でリリースするアプリはことごとくシーンから消え去っています。

アメリカでの創業期のスタートアップの育成と支援、いわゆるシードファンディングを目的とした「Yコンビネータ」の創設者ポール・グレアム(Paul Graham)氏は「93%のスタートアップは失敗している」と述べています。彼はIT起業の失敗に関するさまざまな見解をサイト上で発信しているIT業界の重鎮のひとり。

プログラミングの本場、そして英語の本場でもあるアメリカでのスタートアップの倒産率が93%。この数はあまりに高いと見ることができるしょう。

そしてもちろん、残りの7%以下の会社も順風満帆でなく、そのなかでもユニコーン企業と言われる世界的な成功を収めた「airbnb」や「Facebook」は0.3%という割合で、あの「アップル」でさえも経営危機に何度も瀕しているのです。パッと見うまくいってそうな会社でさえも、経営上の様々な困難に直面しています。

そしてその壁を超えていくのに必要なのは、プログラミングでも英語でもありません。

それらは目的を叶えるための手段だからです。

英語だけできる人はどうなる?

では、英語「だけ」ができる人はどうでしょう。

英語で言えば、例えばアメリカやイギリスに行って、日本人が「英語を話せます」とドヤったところでキョトンとされるでしょう。これは日本企業内においても同様です。英語が話せるのはそれとして、

「で、仕事ができる人物か?」

「んで、雇用するに値するか?」を

見られます。つまり人間力・仕事力を問われる。

プログラミングも英語も時代のスキルではありながら、社会はそれを「技術」と判断し、その技術によりその人が生み出せる「なにか」を期待します。この期待を下回る人は「作業員」となり、上回る人には「仕事」や「出世」が舞い込んでくるのです。

「人材」でなく「人間」として

近い将来、政府の政策が功を奏した場合はプログラミングのできる人口は増えていくでしょう。

そして数年内に、単にコードが書けるだけでは珍しくもない時代がやってきます。都合のいい「人材」でなく「人間」として評価されることを目標に勉強をしないことには、使い捨ての作業員として動くことだけを求められ続けます。

そしてやがて、AIがある地点から指数関数的(Exponential)に急激かつ急速な進化を遂げるタイミングで、プログラミング入力や英語翻訳などの作業はとって変わられるでしょう。

しかし、この時点からであれば十分間に合います。技術は手段と定義し、プログラミング崇拝、英語崇拝になるのは気をつけたいところです。これらの勉強は確かにこれからの時代に必要であることは理解しつつ、心構えのポジションを間違わないようにすることが懸命です。

では、これからの時代に必要なスキルとは?

では、プログラミングも英語も手段であるならば、それら手段を使って自分のやりたいことを実現するには、どんな力が必要なのでしょうか。

社会でいいように使われず、作業員にとどまることなく、自分の裁量で生きていくには、他者と何で差別化していけばいいのでしょう。

それは「ビジネス」を知ることです。

ビジネスは総合力を高める源泉

ビジネスはこの日本においても盲点となっている「学問」であり、大学でそれらしい講義やゼミはあったとしても「実践」や「トレンド」を常に取り入れて進化しているわけではありません。

ビジネスを学ぶことにおいては我が国でも欧米においても、プログラミングほど政府が力を入れてないジャンルにも関わらず、不思議なことに社会では最も必要とされるスキル

世界がこのポイントに敏感になれば、プログラミングと英語のあとは、義務教育で「ビジネス」の科目が導入される未来もあるかもしれません。

例えば、プログラミングを覚えれば、WEBサイトやアプリを「つくるだけ」はできます。しかしそもそものサービスの着眼点と企画力、ネーミングや色、ストレス無いインターフェイス、宣伝集客、さらにサービスを持続するためのお金の運用資金、人手や雇用の問題はどうでしょう。

これらの社会的なビジネス要素を抑えてないことには、そのサービスに継続性は皆無で存在意義すら無意味です。

プログラミングと英語、そしてデザインとビジネス

例えば英語だけはうまいけど、仕事が遅い、段取りも悪く話も上手くない、使えないと判断される人はどうでしょう。

ビジネスの力が抜け落ちていると、その英語は宝の持ち腐れになるのです。

ITとテクノロジー、プログラミング、英語、そしてマーケティングやブランディング、デザインやにビジネスはこの現代社会において全てつながっています。お手持ちのスマートフォンを例にとっても「持ちやすさ、アプリのみやすさ、タッチパネルの感度、見た目の美しさやかっこよさ」などなど、渾然一体となったプロダクトが人々を魅了しています。それを理解しているCEOが取り仕切る会社は繁栄しています。

何も最先端のITでなくとも、町の飲食店でも「マーケティング・宣伝・集客・経営・ブランディング・内装・店員の対応・味・メニューのわかりやすさ・素材のこだわり・店舗の外観・店舗名・場所・サイトの見やすさ」などなど、あらゆる面で優れている店が勝ち残ります。そしてこれらを見るだけでも「マーケティング・宣伝・集客・経営・ブランディング」等、ビジネスに関わるジャンルは半分どころか8割ほどを占めてくるのです。

幅広い知見、総合力の時代が来る

自分がどんな仕事をする際も、どんな役職やミッションにおいても、多角的な判断力を持ち、精度の高い仕事ができる人間。

ビジネスの知見をもって、トータルで俯瞰できる力がこれから必要とされるスキルです。

プログラミングしながらデザインを考え、デザインはユーザーが得られる体験、UI/UXをイメージしながら創り上げていく。そしてそれらのクリエイティブが本当に利益を循環させる構造を持ちうるのかのマーケティング視点を持っている。さらに事業の継続性が大命題と理解している。会社の金をどう回すかの現金燃焼率・キャッシュバーンにも明るい。

世の中の流れや会社の裏側を把握している知識を持っておくことで、どのような業界においても必要とされる人物になりえます。

そしてその総合力から醸し出る「人間力」こそが、その人を最強のビジネスパーソンたらしめる財産となってきます。

自分の人生を生きるための技術・知識・スキルを

この記事では起業やフリーランスが一番いい!ということを言いたいのではありません。

同時にプログラマーがこの先、政府のテコ入れで日本国内で増加していった際に、かつての、いやいま現在の欧米諸国でも根強く残る「プログラミングが世界を変える」という技術崇拝への警鐘を鳴らせればと考えています。独立起業であっても、会社に属するであっても、目的の技術を修得した後においても「自分の裁量で動ける実力と周囲の評価を獲得しよう」ということがテーマ。

誰かにいいように使われる側でなく、知らない間に乗せられてるでなく、自分の人生を生きるための技術・知識・スキルを持っておくことをおすすめします。

たまにニュースで「IT企業から飲食業のCEOになった○○氏」などのCEO交代のニュースなどもありますが、これはその人物が特定ジャンルに縛られない経営手腕・ゼネラルな視点を持っていることを示しています。

流行を問わない「ボーダーレスな知力」を養っていきましょう。グローバル化に備え、テクノロジーの知見や英会話を鍛えるのは現代においてマストですが、同時に「ビジネス」の知識を持っていることが、年齢を重ねるごとのキャリアップには大きく影響してくるのです。

▶関連記事「時代は「プログラミング×デザイン×マーケティング」のmixtureスキルへ。

▶関連記事「プログラミングとデザイン、英語とビジネスを学ぶ価値。

「プログラミング/英語/デザイン/ビジネス」を学ぶIT留学

これまでお話してきたスキルを学べる場所がフィリピンのセブ島にあります。それがアクトハウス

プログラミング
英語
デザイン
ビジネス

以上を学ぶIT留学です。内閣府の方針の2年も前に設立され、脈々とノウハウを蓄積してきました。

▶関連記事『IT留学でビジネスも学ぶ。プログラミングとデザインとの密接な関係性。

 

未来でますます必要とされるITの技術、グローバル言語である英語を学びつつ「仕事力」「人間力」を高めるマーケティングやブランディングの本質を学び、さらにはSNSやSEOなどの現代的な集客方法や特性をつかむ。この学びを少人数のIT留学というかたちで実現しています。未来に備え、作業屋にとどまらないナレッジを。プログラミングと英語に夢を見すぎて、結局ビジネスの視点やスキルが抜け落ちている将来にならないように。もっと詳しくは下記のリンクからどうぞ。

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著者:清宮 雄
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