2025.12.08

ここは学校ではない。「仕事が実際に回っている現場」で学ぶという意味

Lab Culture

ここは学校ではない。「仕事が実際に回っている現場」で学ぶという意味

なぜ「勉強した未経験者」は面接で落とされるのか

同じ未経験者でありながら、なぜ瞬時に採用される人と、どれだけ応募しても面接で落ち続ける人がいるのでしょうか。

プログラミングやデザインの基礎を学び、何ヶ月もかけて小綺麗なポートフォリオ(作品集)を作り上げた。それにもかかわらず、「実務経験なし」の壁に阻まれてキャリアのスタートラインにすら立てない人が大勢います。一方で、そこまで突出した技術を持っていなくても、トントン拍子に案件を獲得していく人もいます。

その決定的な差は、どこにあるのでしょうか。

多くの場合、それは技術力やセンスの差ではありません。「仕事が実際に回っている現場」に身を置き、顧客との利害調整や摩擦を経験したことがあるかどうか、ただそれだけです。

企業やクライアントが未経験者の採用をためらう本当の理由は、「技術がないから」ではありません。「実務特有の摩擦や理不尽を経験したことがないため、現場に投入したときにどう動くか分からなくて怖い」からです。正解が用意されたテキストをなぞるだけの「勉強」をしてきた人と、答えのないカオスの中でプロジェクトを前に進めてきた人とでは、ビジネスにおける生存能力が本質的に異なります。

【参考】なぜ「実務経験1年」の求人に「未経験者100人」が応募して落ちるのか?

企業は「コードを書ける人」を採用したいわけではない

現代の採用市場において、企業が求職者に求める条件は劇的に変化しています。極論を言えば、企業はただ「コードを書ける人」や「ツールを使える人」を探しているのではありません。

AIの進化によって、仕様書通りのコードを書くことや、一般的なデザインの枠組みを構築することは驚くほど容易になりました。Figmaやコーディングの基本スキルを持つ人材は、すでに市場に溢れかえっています。

いま、現場が本当に切望しているのは、次のような人材です。

☑️ クライアントの曖昧な要望の背景にある意図を汲み取り、言語化できる人

☑️ 不測のトラブルが発生した際にも、冷静に納期から逆算してタスクを組み立て直せる人

☑️ チーム内の意見の対立や顧客との認識のズレを、建設的なコミュニケーションで収束させられる人

どれほど優れた技術を持っていても、納期を守れず、顧客対応ができず、トラブルの手前で立ち尽くしてしまう人は、プロの現場では機能しません。技術はあくまで課題を解決するための手段に過ぎず、企業が本当に評価するのは「ビジネスを確実に着地させる能力」です。

実案件の制作だけでは足りない理由

昨今、多くの学習環境が「実案件に挑戦できる」というフレーズを掲げています。しかし、単に「実際の案件で制作物を担当した」という経験だけでは、現代のシビアな採用市場を勝ち抜くには不十分です。

本当に必要なのは、制作という作業の前後にある「商流そのもの」に深く関わる経験だからです。

クライアントとの生々しい「ヒアリングと打ち合わせ」

「何を作り、何を作らないか」の境界線を引く「要件定義」

リスクと利益を天秤にかける「見積もり作成と金額交渉」

想定外のトラブルで瓦解していく「スケジュール調整」

成果物を世に放ったあとに発生する「不具合への公開後対応」

実務の本質とは、画面に向かって美しい成果物を組み立てることではなく、綺麗ごとでは済まない「泥臭い利害関係の調整」の中にあります。これらの商流を当事者としてサバイブした経験こそが、企業の求める「現場経験」の正体です。

【参考】AI時代に評価されるのは「速く作る人」ではなく「正しく削る人」

現場のリアル:実務で必ず起きる「3つの小さな理不尽」

では、「仕事が実際に回っている現場」とは具体的にどのような場所なのか。大事件ではなく、日常的にどこでも巻き起こる「3つの小さな理不尽(実話)」をお見せします。これこそが、教科書には絶対に載っていない実務のリアリティです。

①最終段階での「仕様変更」と深夜の攻防

あるWebサイトの制作案件。デザインの最終確認も終え、あとは数日後の公開を待つばかりという段階で、クライアントから突如「やっぱり申し込みフォームの項目をガラッと変更したい」と連絡が入りました。デザイン担当は「もうFIXしてコーディングも終わっています」と主張し、開発担当は「今から構造を変えたら他の機能が壊れます」と反発する。しかしクライアントは「でも、必要なんだ」と譲らない。しかし、これが実務です。結局、チームは夜中まで全員で会議を重ね、仕様変更の影響を最小限に抑えながら、朝までデザインとコードを修正し、納期を守り抜きました。追加費用交渉は実らず。

②「素案の素案をちょうだい」というクライアントの遅延

コンテンツ制作において、掲載する原稿の「ライティング素案」はクライアント側が支給するという明確な約束(契約)でした。しかし、待てど暮らせど原稿が届かない。納期は刻一刻と迫るため、チームが何度も丁寧に催促を入れました。すると、ある日返ってきたのはこんな言葉でした。「書けないから、そっちで『素案の素案』を先に作ってもらえる?」約束が、いつの間にかすり替わっている。しかし「相手が動かないから納期が遅れました」は、プロの世界では通用しません。クライアントをいかにハンドリングし、自ら巻き込んで全体のタイムラインを死守するかという、超実践的なディレクション能力が試される瞬間です。

③音信不通からの突然の「明日までに完了できますか?」

プロジェクトの進行中、こちらからの進捗確認やデザイン案へのフィードバックに対して、クライアントからの返信が完全に途絶えたことがありました。メールを送っても反応がないまま、ついに当初予定していた納期を過ぎてしまいます。数日後、何事もなかったかのように突然、一本のメッセージが届きました。「すいません、社内調整に時間がかかっていました。明日までにすべての公開作業を完了できますか?」理不尽の極みですが、ビジネスの世界では日常茶飯事です。この無茶振りを前に、ただ感情的に怒るのか、それともプロとして「不可能な理由と、今すぐ対応できる現実的な代替プラン」を即座に提示して主動権を握り返すのか。現場は常に、あなたの「大人の対応力」を試してきます。

ポートフォリオに「ビジネスの血」を通わせる

採用担当者が、一般的なスクールの卒業生が提出するポートフォリオをほとんど見ずに見送る理由が、これで分かったはずです。そこには、こうした「現場のノイズと血の通った交渉」の文脈(コンテキスト)が一切含まれていないからです。

テンプレート通りの架空のサイトを見せられても、実務の現場からは「で、これはどんな理不尽な納期で、どんな顧客のワガママをクリアして納品したの?」という疑問しか湧きません。

アクトハウスの180日間の留学の後半100日間で作り上げるのは、そうした小綺麗な作品集ではありません。代表である清宮が実際に外部から受注している、本当にお金が動いている案件にチームで参画し、上記のトラブルをすべてくぐり抜けて納品した「生きた実績」です。

面接や商談の場で、これらのリアルなトラブルを「自分たちのチームがどうロジックとコミュニケーションで解決してローンチさせたか」を自分の言葉で語れること。この実績に流れる「ビジネスの血」こそが、未経験のあなたを「即戦力の経験者」へと変える最強の証明書となります。

結論:正解のない不確実な状況でも、前に進み続ける力

学校では、失敗しても成績が下がるだけです。
しかし仕事では、失敗するとお金と信用を失います。だからこそ、アクトハウスはあなたを甘やかす「学校」という形態を取りませんでした。

実務を通じて学ぶ価値は、Web制作やITの世界だけに留まりません。

クライアントとのシビアな調整。チームでの迅速な意思決定。動かせない納期から逆算する思考。そして、「正解のない不確実な状況でも、高い知性を持って前に進み続ける力」。

これらは、万が一時代が変わって扱う技術や業界が変わったとしても、決して価値が消えない普遍的な能力です。だからこそアクトハウスは、単なる「プログラマー養成所」ではなく、これからの時代を自らの腕で動かせる人材を育てようとしています。

感覚的な「勉強ごっこ」を終わらせ、本気でビジネスの打席に立つ覚悟がある同志を、私たちは待っています。

スキルを極めたその先にある、ビジネスを動かす側へのステップアップへ

プログラミングの文法やデザインソフトの操作をなぞるだけの学習で満足していませんか。実務で本当に求められるのは、仕様書がない混沌とした状況から、クライアントの課題を解決する成果物を導き出す力です。

アクトハウスでは、半年間の徹底した没頭環境のなかで、具体的にどのような案件を扱い、どのように実務の壁を突破していくのか、個別のキャリア留学相談を随時受け付けています。

未経験から単なるワーカーで終わらず、市場で強く求められる「商流を動かせるITビジネスパーソン」へとステップアップするための具体的なロードマップを、客観的な視点から整理します。これからの可能性を拓く機会として、まずはLINEからお気軽にお声がけください。

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著者:清宮 雄(アクトハウス代表) 起業家・ブランドアーキテクト。2014年にセブ島でIT留学の草分けアクトハウスを設立。「ビジネス×テック」をテーマに、時代に左右されない強靭な個の育成に従事。

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