2025.12.02

アジアの熱気に触れよ。セブ島留学で得られる「市場の肌感覚」とビジネス視点

English Dialogue

アジアの熱気に触れよ。セブ島留学で得られる「市場の肌感覚」とビジネス視点

成長の熱量に身を置く意義と、マインドセットの環境設計

日本の都市部で満員電車に乗る。

そこにあるのは、静寂と、日々の業務に疲弊した人々の表情。ルールは厳格に守られ、時間は極めて正確、街は清潔に整っています。しかし、そこから未来への瑞々しい希望や、爆発的なエネルギーを感じることは容易ではありません。我々が肌で感じているのは、成熟の極みに達した社会が内包する、どこか閉塞感の漂う空気です。

一方で、フィリピンのセブ島に降り立った瞬間、その空気は一変します。

むせ返るような熱気と共に、建設中のビルから響く轟音、行き交う人々の活気ある声、けたたましいクラクションが五感を刺激します。一見するとカオスであり、不便さや発展途上ならではの粗削りさが目につくかもしれません。しかし、そこには圧倒的な「前進する力」が満ちています。

ビジネスやクリエイティブの世界を志す人間にとって、この「場所」の選択は、これから学ぶ個別のスキル以上に重要な意味を持ちます。なぜなら、身を置く環境の前提が、自身の視座とマインドセットを強力に書き換えていくからです。

今回は、なぜアクトハウスがアジアの成長市場に拠点を置き続けるのか、その戦略的な意図と、現地でしか得られない「皮膚感覚」という資産について解説します。

人口動態がもたらす拡大成長のロジック

統計データを俯瞰すれば、市場の持つエネルギーの差は一目瞭然です。国力を左右する平均年齢において、日本が約48歳であるのに対し、フィリピンの平均年齢は24歳前後。この大きな差が意味するものは絶大です。

街を歩けば、視界に入るのはこれからの経済を動かし、旺盛な消費を牽引していく若い世代ばかり。これがいわゆる「人口ボーナス期」と呼ばれる、経済発展における黄金期のリアルな姿です。

日本国内の環境に留まっていると、無意識のうちに「市場は縮小するもの」「新しいモノは売れないもの」という前提で思考の枠組みを組み立てがちになります。しかし、一歩アジアの成長市場へ足を踏み出せば、その前提は「市場は拡大するもの」「インフラやサービスはこれから次々と作られるもの」という常識へ切り替わります。

この右肩上がりのエネルギーを肌で吸い込みながら物事を考察することは、ビジネスの本質的な感覚を研ぎ澄まします。縮小していくパイを奪い合う思考ではなく、市場そのものを拡大させていく成長のロジックで未来を構想する力が、自然と養われるのです。

不便さの裏側に潜むビジネスの種と、課題発見能力

日本は生活インフラとして完成されすぎています。あらゆるサービスが24時間提供され、交通機関は分単位で正確に稼働する。これは生活者としてはこの上なく快適ですが、ビジネスの起点を探すクリエイターや起業家にとっては、解決すべき「不満・不便・不安」がすでに先回りして解消されている、隙間のない市場とも言えます。

しかし、発展を続けるアジアは異なります。道路の渋滞、インフラの脆弱さ、非効率な手続きなど、日常のあらゆる場面に改善の余地が残されています。ビジネスの視点から見れば、これらはすべて「解決されるべき宝の山」にほかなりません。

「なぜこの地域で配車アプリがこれほど爆発的に普及したのか」

「なぜ銀行口座を持たない人々が、スマートフォンひとつで決済を完了させているのか(リープフロッグ現象)」

こうした社会課題の解決とテクノロジーの結びつきを、教科書の事例としてではなく、日々の生活の不便さの中から体感として理解する。この、ゼロから事業の機会を見つけ出す「課題発見能力」は、完成された快適な環境の中では育ちにくい、実践者ならではの野生の勘です。

正解のないカオスを乗りこなす「FDE」としてのサバイバル能力

整備された社会では、あらかじめ用意されたマニュアル通りの正解をいかにミスなく実行するかが評価されがちです。しかし、激しい変化の渦中にある新興国では、昨日までのルールが突然変更されるような不確実性が日常茶飯事です。

アクトハウスがカリキュラムにおいて「Cebu & Context(文脈の理解)」を重視するのは、この変化の激しい環境こそが、次世代のビジネスパーソンを育てる最高の教材となるからです。想定外のトラブルに直面した際、不満を漏らす前に「手持ちの技術とAI(Logic Prompt)をどう駆使してこの状況をハックするか」を考える。このタフな臨機応変さこそが、実社会のプロジェクトを駆動する力となります。

このように、技術(IT)と語学(英語)をベースに持ちながら、変化する環境の文脈を読み解き、デザイン(Art & Science)の論理とマーケティング戦略(Marketing/Strategy)を融合させて最前線で事業課題を解決する人材──それこそが、現代の市場が強く求めている「FDE(Forward Deployed Engineer:前方展開型エンジニア)」の立ち位置です。

【参考】FDEとは

日本市場ですでに成熟したビジネスモデルを新興国へローカライズして展開する「タイムマシン経営」の視点を養う上でも、あるいはテクノロジーが社会課題をダイレクトに解決していく最前線を体験する上でも、セブ島というフィールドは、受講生を単なるコーダーから「事業全体を俯瞰するFDE」へと引き上げるための最適な作戦会議室となります。

結論:一次情報の熱量を五感で浴び、一生の戦友を得る

「現地の情報なら、インターネットで検索すればいくらでも手に入る」と考える方もいるでしょう。確かに、経済成長率やマクロの数字は画面越しに確認できます。しかし、その数字の背景にある、現地の人々が持つ「現状を良くしたい」という強烈なハングリー精神や渇望の熱量は、その場の空気を五感で味合わなければ決して理解できません。

誰かが編集を施した綺麗な二次情報に依存するのではなく、自分の肌で感じ、脳が揺さぶられた原体験(一次情報)を持つこと。それが、あなたが将来プロダクトを世に送り出すとき、あるいはビジネスの場で誰かを説得するときの、言葉の圧倒的な重みと説得力になります。

また、日本で「会社を辞めて海外でITとビジネスを学ぶ」という選択をすると、周囲から慎重な目を向けられることもあるかもしれません。しかし、ここセブ島のアクトハウスには、既存の安定を飛び越えて自らの手で人生の舵を握ろうとする、高い熱量を持った「ガチ勢」しか集まりません。

日本の居酒屋で現状の愚痴を言い合う関係ではなく、セブ島の熱気の中で「いかにして市場に価値を提供するか」を真剣に議論し、後半3ヶ月の「実務案件」で共に泥をかぶる仲間たち。ここで構築される質の高いコミュニティとネットワークは、帰国後も互いに案件を回し合い、新しい事業を共創していくための、お金では買えない一生の資産(セーフティネット)となります。

快適なぬるま湯から一歩踏み出し、世界の成長のダイナミズムを皮膚感覚でインプットしながら、時代に代替されないFDEとしての実力を掴み取りたいと願うなら、ぜひ私たちのドアを叩いてみてください。

アクトハウスの疑問については『【参考】アクトハウスQ&A「20の誤解」。検討者の疑いを晴らす「NO」の真実』からどうぞ。

著者:清宮 雄(アクトハウス代表) 起業家・ブランドアーキテクト。2014年にセブ島でIT留学の草分けアクトハウスを設立。「ビジネス×テック」をテーマに、時代に左右されない強靭な個の育成に従事。

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