「スマートアグリ」がもたらす農業革命。そのクラウドは救世主たりうるか。

広大な畑には、ドローンとロボットだけ。

そんな風景が当たり前になるかもれません。

ドローン

農業は「労働力」と「経験」だった

これまで農業は、どうしても「労働力」と「経験」という、属人的な条件にその行く末を委ねてきました。後継者を育てる場合、当然ながらその経験と生産性はコントロールしきれる領域ではありません。さらに昨今ずっと言われていたTPPによる関税撤廃の噂も伴い、その衰退の懸念は強まる一方でした。

このまま世界全体の生産力は落ち、やがて地球上から「農業」は消えてしまうのでしょうか。

農業はどうなるか

オランダの「スマートアグリ」

その空気に「待った」をかけた国が、オランダです。

決して国土面積や人口数に恵まれているとは言えない同国、しかし実はいまやオランダは世界を代表するIT農業国となっています。

「スマートアグリ」と呼ばれる農業のIT化がその背景にあります。アグリとは「agriculture」、農業・農学のこと。

オランダの「スマートアグリ」

ITで「栽培・管理・収穫」

ITテクノロジーの力で「栽培・管理・収穫」をワンストップでコントロールし、環境と品質を保持する仕組みを完成させたことに成長の要因がありました。

これまで課題であった農作業の「効率化・一定化・標準化」を実現する新しい技術が、国益さえも大きく変容させたのです。いまやオランダはアメリカに次いで農業輸出は世界2位、その総額は8兆円規模となっています。ちなみにこれは、日本の約30倍にもあたる規模。ヨーロッパの国々では下から数えた方が早い面積しか持たない国が、破竹のポテンシャルで成長し続けています。

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元々オランダは古き良き農業国

元々オランダは、自国の農業文化をマイペースに守っていた農業国でした。

しかし、近隣諸国の作物が流入してくる自由化の動きによりマーケットの状況は激変。伝統的な農家は次々と瀕死の状態になるダメージを受けつつも、土俵際でまさかの「農作業の機械化」を遂行したという背景があります。

世界的な人口増加の一方で、食糧問題は深刻を極め、消費者の食の安全に応える「安心の平常化」という思想が社会を包んできました。農業の人材・技術不足の改善もさることながら、まさに時代のニーズに適合した「スマートアグリ」は、時代の申し子であるとも言えます。

「スマートアグリ」は時代の申し子

農業のIT化の波

農業のIT化の波はもちろん、我が国にも押し寄せつつあります。

日本は元々、諸外国に比べ食料自給率は著しく低い国です。先進国トップ10にさえも入っていない、まさに「輸入作物に頼りきり」の状態が続いています。そのうえ農業全体のリソース不足となれば、問題は先送りのまま衰退する一方。こうした流れから、かの国オランダにて産声をあげた「スマートアグリ」のIT農業の概念は、上陸すべくして日本の地に降り立ったと言えるでしょう。

佐賀県ではクラウド・グループウェアの世界的先駆者であるセールスフォース社との共同研究にて、農業支援アプリケーションの試用と効果検証が行われ、富士通など国内の大手企業でも続々とその動きは加速しています。

東京ビッグサイトでのイベントや、地方自治体の活動もその一翼を牽引しており、その盛り上がりの本気度、国内の危機感は高まってきています。日本の農業も「スマートアグリ」になっていくのでしょうか。

日本の農業のスマートアグリに?

テクノロジー駆使したスマートアグリ

スマートアグリが導入されたオランダの農場では、どこにいてもスマートフォンやタブレットで作物を把握できるインフラが整備され、24時間いつでも監視・制御できる体制が整っています。

つまりそれは「IoT」(Internet of Things:モノのインターネット)です。あらゆるものがインターネットでつながり、クラウドにデータが「経験」として蓄積され、さまざまな天候や状況に対して対応できるITテクノロジー。

その「スマートアグリ」では、具体的にどのような技術が実現されているのか見てみましょう。

●全自動センサーネットワークによる一元管理
●ハウス内栽培における天候のコントロール
●温室のモニタリング・遠隔監視
●栽培用水の殺菌
太陽光・地熱エネルギー発電
●適材・適量・適時な肥料投入
●Co2再利用
●多用品種の同時栽培
GPS自動走行機械の運転
経営・販売管理
生産管理

システム化、数値化、データベース化

人間が、しかも熟練の農作業者が「目と嗅覚」で行っていたことを、システム化、数値化、データベース化し、その恩恵で莫大な利益を上げていくモデル。

オランダの先進農業地帯では、畑の主人が向かうのは田園ではありません。むしろ草木とは無縁のオフィスであり、パソコンのモニターには育成している作物が一元管理できる画面が映しだされています。さらにこのノウハウはパッケージ化され、ノウハウそのものが商品となり諸外国へ販売されているのです。

IT農業のノウハウ

ドローンも登場

そして、農業のスマート化のなかで外せないのが、近年急激な成長市場となっている「ドローン」。

ドローンが農業を変えている。地上の計測ロボットによって農場の温度や湿度を測定し、人口衛星との連携で作物の育成状況を把握する。そういった作物・土壌管理の情報をドローンで行う「精密農業」。ドローンの急速な進化により、オランダは他国との技術連携を深め、さらに強固なスマートアグリの仕組み、ノウハウの販売単価をも高めていくことでしょう。

時代の分岐点にたびたび現れるソフトウェアとハードウェアの象徴的な融合は、エポックメイクな爆発力を持つことは歴史が証明してきた。親和性の高いスマートアグリとドローンの相互位関係は、その必然を秘めています。

スマートアグリとドローン

農業とIT、持続可能な地球づくりへ

農業とIT。

大きな社会的課題を抱えていた一産業に、問題解決の手段としてITが導入されている。医療や電気自動車、工業製品だけでなく、新しいITの在り方が農業にもしっかり組み込まれてきています。

テクノロジーと人が共存する現代。未来の話ではなく、すでに突入したIoTそしてA.I.の時代。

「持続可能な地球づくり」の挑戦は、至るところで始まっています。

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著者:清宮 雄「IT×英語×ビジネス留学」のアクトハウス代表。

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