売れる企画は「1+1」のイノベーション。狂ったアイディアで常識をブッ壊せ!

「なにかアイディアないの?」
「おもろい意見は誰も持ってないんか…」
「なんかこう、変わった発想はないわけ?」

こんな風に詰められるようでは、ビジネスマンとしてまだまだだ。

いわゆる「売れる企画」のビジネスセンスは、コンテンツ至上主義の現代において不可欠な要素。ビジネスとはアイディアであり、アイディアの積み重ねこそがビジネスである。
 

しかし、これだけ「モノ」があふれる現代。
議論や討論だらけの現代。

この現状のなかで、新しい何かを生み出すことはできるのだろうか?

もしできるのならば、そこにコツはあるのだろうか?

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〜今回のテーマ〜

◉ 各国・各業界の「アイディア」を知ろう

◉ アイディアの「出し方」を知ろう


 
★★★アイディア成功事例その1★★★

「撮影班」+「エンターテイメント」

竜巻大国・アメリカ。

その被害レベルは尋常でなく、ニュースで一度は目にした人も多いだろう。これら竜巻は「トルネード」と呼ばれ、突発的に現れるこのモンスターに、人間たちは為す術はない。

トルネードの調査は、竜巻研究の第一人者と言われるオクラホマ大学のワーマン助教授が有名で、その研究の様子は日本でもテレビ放映されたことがある。また、トルネード自体もハリウッド映画では『ツイスター』『イントゥ・ザ・ストーム』といった作品で扱われ、ディザスター・ムービーのブームを後押しした。

しかし、華ある研究者やトルネード自体でなく、この竜巻を取り巻く人間たちのなかでも「脇役」に位置するキャラクターを主役に抜擢し、成功したテレビシリーズがある。

それが脅威の自然現象を追う「撮影班」の奮闘をドキュメントにした『トルネード・ハンターズ』だ。

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「撮影班」と「エンターテイメント」という「足し算」。

このポスターのイメージはまるで映画のようだが、こなれた俳優が出てくるわけではない。しかし竜巻撮影に挑む男たちを英雄に見立て、限りなくキャッチーなエンターテイメントに仕上げている。

シリアスな要素は取っ払い「竜巻があるところに飛んでいく」という企画だけで押し通しているのだ。

その予告編、とぼけたようなキレっぷりも痛快だ。

このシリーズには「竜巻でテレビ番組は無理だろう」というネガティブな要素は微塵もない。きっと制作会議では、いろいろな反対意見もあったかもしれない。

しかし、企画マンはそこで折れてはいけないのだ。企画など、ぶっ飛んでるくらいで、ちょうど良いのである。

この不屈の精神、脇役に息吹を与える視点こそが「イノベーション」だ。今や「トルネード・ハンターズ」はアメリカ、カナダ、東南アジア各国でもお馴染みの特番となっている。


 
★★★アイディア成功事例その2★★★

「名曲」+「ダンスミュージック」

この2年間で、音楽シーンを完全に席捲したジャンルがある。

EDM

である。ド派手なステージにはポツンと「DJ」1人だけ。選曲されるダンストラックに合わせ、数万人が一晩中踊り続けるフェスティバルは、今やEDMなしには語れない。年間3,000億ドル産業に化けたEDMという現象は、この日本でも巨大フェス「ULTRA」の開催が話題になったことで知った人も多いだろう。

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しかしEDMという音楽自体、聴いてみれば何か目新しいジャンルというわけではない。ただこのEDMは、ダンスミュージックを深く知ることのなかったユーザーたちにとって、初めての「歌えるダンスミュージック」であったことは揺るぎない事実だろう。

元々世界共通のダンスビートである「4つ打ち」に、

◉ 誰もが知る名曲のサビだけを乗せた
1回で覚えられる歌だけを繰り返し乗せた

こんな遠慮のない「足し算」が、それまでダンスミュージックなど気にも止めなかったユーザーの心をつかんだ。一見、自由なようで閉鎖的であったクラブ・シーンの壁をブルドーザーのように壊していったのが「EDM」だったのである。

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実際にEDMのフェスティバルで重宝されるような「有名な歌ものトラック」は、DJ界隈では昔から「マッシュアップ」と呼ばれており、非公式の海賊盤がおふざけ程度に出回ることはあった。しかし決してそれらのトラックは、メインストリームで重宝されるような評価は受けていなかった。

ところがEDMでは「歌ものトラック」こそが、最も観客がひとつになる瞬間に投下される。オリジナル曲を愛するファンが聴いたら卒倒しそうな、コールドプレイやオアシス、時にはニルバーナやビートルズといった誰もが知るバンドの曲の「サビだけ」を遠慮なくサンプリングした曲で盛り上がる。

さらにそれらの名曲フレーズが、他の大ヒットソングと違和感なくミックスされ、会場は歌とダンスのカオスと化していくのである。

「ロックコンサートの大合唱」と「自由奔放なダンスイベント」が混在する、その様子をちょっと見てみよう。

この「歌って踊れるダンスミュージック=EDM」というイノベーションは、

「名曲」+「ダンスミュージック」という「足し算」にあった。

言い換えれば、ユーザーが求めるものだけに絞りきった「欲望の産物」とも言えるだろう。もちろんEDMには歌モノだけでなく、ノイジーなものや素っ頓狂なフレーズのエレクトロ、トランスやポップスなど、あらゆる技法やフレーズが詰め込まれており、その統一されたカオスが人気に拍車をかけている。

それゆえにこの音楽は「エレクトリック・ダンス・ミュージック(EDM)」と妙に広義なネーミングで定義付けられており、掟破りのブランディングがアッサリ強行されていることを忘れてはならない。

ちなみに先程の動画のDJ、デビッド・ゲッタ(David Guetta)の2015年の年収は「44億円」。

この狂ったイノベーションはいつまで続くのだろうか。


 
★★★アイディア成功事例その3★★★

「哲学」+「料理」

「足し算」のイノベーション、最後のひとつはこれだ。

現代において《世界一のレストラン》と称される「noma」(ノマ)。

デンマークはコペンハーゲンにひっそりと佇む、この世で最も予約が取れないお店である。

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ここの料理はよくある「芸術と料理」という枠を軽く越え、もはやビジュアルだけでは食欲も湧いてこないような「哲学」の領域へ入っている。しかしやはり、その味は格別極まりないものだという。

まずはその「哲学」である「料理」たちを見てみよう。

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そもそもデンマークと聞いて「食」をイメージする人は、この「noma」以前には皆無であった。経営者であったクラウス・マイヤーも「デンマークには誇るべき伝統食文化なかった」と当時を振り返る。

ではなぜ、この国から《世界一のレストラン》は生まれたのか。

「noma」は料理をつくる前に「マニフェスト」を作った。

それは「ニュー・ノルディック・フード・マニフェスト」と呼ばれ、読んで字のごとく「新しい北欧料理のための公約文書」として位置づけられた。

「消費者・料理人・生産者・小売といった食と流通に関わる全ての人はもちろん、政治家や企業家も協同し北欧の国々に利益を生み出すこと」といった高い思想が掲げられているのがこの文書である。

1軒の街角のレストラン、しかもチェーンでもなんでもない、資金力も知名度もないレストランが掲げる公約にしては、度が過ぎていたかもしれない。

しかしこの「度が過ぎていることを、真顔でやり続けるのがイノベーション」なのである。

次の動画は「noma」のオフィシャル動画だ。一見やわらかな空気感から垣間見えるのは、病的なまでのこだわり。有名な「蟻(アリ)」を使った料理も見ることができる。

料理のビジュアル、素材もエッジが立ちまくるセンセーショナルなそのスタンスは、物好きな美食家たちをザワつかせるのに十分な要素ばかりだった。ちなみにこの「noma」は素材にこだわるあまり、過去2回、大赤字で閉店の危機を迎えている。

食文化の醸成が皆無とも言える国で生まれた「哲学」+「料理」という「足し算」

現在、「noma」が用意できる年間の座席数2万席に対し、問合せは100万件とも200万件とも言われている。大満足して帰りたいなら、一人あたま10万円は用意したうえで挑戦すべきレストランということだ。


 

イノベーションとは、何もスマートフォンに代表されるITやWebに限ったものではない。「企画」が入るすき間は、日常のビジネスにおいても、まだまだ無限に存在している。

むしろ「世の中は隙だらけなんだ」と自分に言い聞かせよう。

今日見てきた3つのイノベーションは、そぎ落としていけば実にシンプルな構成になっている。

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◉ 研ぎ澄まされた「1+1」の足し算であり、
◉ またどこまでもユーザーのことを考え
◉ 何よりも自分たちが楽しんでいる

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「足し算」「ユーザー」「楽しむこと」。

時代を揺り動かすアイディアの共通項。
歴代のイノベーションにも必ずといっていいほど絡んでくるこの要素。

これを偶然とみるか、必然とみるか。
 

▶︎著者:清宮 雄 プロフィール
フィリピン・セブ島在住。IoTそしてA.I.時代の国際的な起業家・ビジネスパーソンを育成するセブ島留学のアクトハウス代表。メンターとして現場でも奮闘中。アクトハウスの体験談はこちら >>>

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