往復34時間かけて「たった10分間、インド秘境の瞑想ドーム」へ行ってみるか、行かないか。


バックパッカーの聖地「インド」。

近年はIT国家としての道を歩み始めながらも、いまだなお、この国の「超自然主義」が揺らぐことはない。

例えば、聖なる川と称されるガンジス。迷路のような細道を抜けた先、砂埃にかすむ大河沿いでは、沐浴や洗濯をする人たちと、火葬場に集まり天を仰ぐ人々が隣合わせにいる。生と死のどちらが優先されるでなく、どちらが悲しいでなく、ただ静かに入り交じる混沌と平穏が同時に介在している。

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そんなインドの南東にある町「オーロヴィル」。交通的に不便なこの地は、それでも、物好きなトラベラーたちが連日のようにやって来る。なぜならここには「ここにしかない10分間」があるからだ。

その答えは、町の中心部にある黄金の巨大瞑想ドーム『マトリマンディル』にある。まずはこのビジュアルを見た方が、話は早いだろう。

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「行ってみたい」

そう思った人はいるだろうか。ともあれ、まずはこの不思議な『マトリマンディル』の説明をしていこう。

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【マトリマンディルとは?】

インド政府はもちろん、ユネスコや諸外国からの援助を受けた環境認定都市である「オーロヴィル」。ここは、さかのぼること約50年前の1968年に作られたエコビレッジだ。

この町の中心にあるのが黄金の瞑想ドーム『マトリマンディル』。のどかな木々のなかに突如現れるこの不可思議な建造物は、実はその中で「瞑想」ができることで知られている。世界の秘境やメディテーション、ヨガやアーユルベーダに興味がある人は一度訪れる価値があるだろう。なお「中は完全に撮影禁止」となっている。その荘厳な内装、異次元の建築様式については、入れた者のみぞ知る謎のベールに包まれている。そして、この厳戒態勢がまた人々の興味を惹きつけてやまない。

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【数日待ったあげく「たった10分」】

この瞑想ドーム、中へ入るには1日前に予約をしなければならない。しかも、最も早くても入れるのは翌日以降。長くて数日待たされることもある。僻地のため、それまでは近隣の宿に宿泊しなければならない。さらに中へ入る前は、外観の見学やガイダンスビデオを見る手順を踏むなど、それなりのプロセスを経る必要もある。そうしたステップを謙虚に積み重ねても「中に入れる時間はたった10分間」だ。

我々日本人はこの地に到着するまで、諸々込みで片道17時間はゆうにかかる。往復で「34時間」。時間にルーズな「インドの時間」を考慮すれば、片道24時間以上のイレギュラーも十分考慮する必要があるだろう。

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【それでも行きたい?】

さて、あなたはここまで読んで、どう思っただろう?

「最初は行きたいと思ったけど…」
「休みが取れるかどうか…」
「中の写真撮れないのか…」
「10分間のためだけに…」
「片道1日以上って…」

こう思っていないことを願いたい。そうだとしたら、重い「現代病」を患ってしまっているからだ。

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【「答え」がないと不安な現代人】

「人が旅をするのは到着するためでなく《旅をするため》である」。

ヨハン・ウォルフガング・フォン・ゲーテ。200年以上も前のドイツの詩人の言葉である。

旅のテーマは人それぞれだ。どの旅が合っていて、どの旅が間違っているなんてことはない。しかし時間と休みのない時分、いざ自らが休みを取って旅するとなると、どんどんリスクを減らしてしまう。例えば最初に「行きたい!」と思った場所さえも「移動時間が…」「旅程がもしズレたら…」「だったらもっと他に…」「休み取れるかな…」「むしろ旅はやめて…」と、みるみるスケールダウンしていく。なぜだろうか。そこには、こんな気持ちが働いている。

「行って、損をしたくない」
「行って、後悔したら嫌だ」
「知らないところだから、怖い」

これらは、「答え」が見えないから行動したくないという「不確実性へのビビり」である。逆に言えば、受験や就職など、明確にゴールがわかるものしか挑戦してこなかった人生と言えるだろう。

心のなかで、打算に継ぐ打算を繰り返しているうちに、最悪「やっぱ旅行はいいや」と、旅自体を放棄する。その瞬間、その旅で出逢えたはずの人たち、体験、笑顔、涙、混乱やスリルまでも、全てドブに捨ててしまうことになる。たかが「答えが見えないから」という理由だけで。

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【体験に価値を感じよう】

人生はよく旅に例えられるが、旅もまた人生に例えることができる。

旅に対して「移動時間」や「疲労度」などを気にしすぎて弱気になっていた人は「人生」においても同様の思考回路で、いつもどこかで妥協してはこなかっただろうか。

しかし実は、旅も人生も「体験に価値を求める」ことができると、もはや結果や行く先のことなど対して気にならなくなる。「過程にこそ醍醐味がある」ことに気づけば、どんなプロセスでも前向きに受け入れることができ、またそのようなポジティブな動機や継続的な努力には、やっぱり結果もついてくる。

心がソワソワしてきたなら、どんな国でも行ってみよう。胸がザワザワするなら、どんな挑戦でもやってみよう。

あなたが異国の地に降り立ち、初めての町で、一泊目の宿で、ようやく心拍数が落ち着いてきたとき。体の奥から感じるはずだ。ずっと抑えていた少年時代の自分、やんちゃな少女だった頃の自分がみるみる息を吹き返すのを。そして、こう思うはずだ。

「なんでこんな楽しいことを、ずっと我慢していたんだろう」

人生においても同じことである。退職したり、休学したり、リセットしたり、お金や時間を工面することを必要以上に重いハードルと考えてはいけない。それら全ては「自由になるための手続き」と考えよう。面倒だし、怖いし、引き返したくもなるけれど、自由への手続きを終えて、新しいフィールドに入って行ったとき。そこで新しい人に逢い、仲間に助けられ、未来が手に触れたとき。あなたはきっと思うはずだ。

「なんでこんな楽しいことを、ずっと我慢していたんだろう」

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あなたの旅は、あなたの人生をそのまま映している。あなたはこれまで、どんな旅行をしていただろうか。

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【今までどんな旅行をしてた?】

◉必要以上に安全を優先していた。
◉予定ばかり詰め込んでいた。
◉効率の良さばかり重視していた。
◉食べることばかり考えていた。
◉贅沢することばかり考えていた。
◉友人を頼りにしていた。
◉損得ばかり気にしていた。
◉口だけで旅に出ることはなかった。
◉そもそも旅など考えたこともない。

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これらはもちろん、旅レベルであれば問題はない。しかし「人生」もそうであった場合、考える余地はあるだろう。

トラブルも、偶然も、ピンチもラッキーも「人生という旅」に出発するからこそ体験できる。何もしない人生は、外出せず部屋に引きこもっているのと変わらない。慎重になりすぎず、結果を怖がらず、欲望だけに流されず、人生の「体験」に価値を感じよう。リスクを避けていては、いつまでたっても「旅」は始まらないのだから。
 
【著者「IT・英語・ビジネス留学」アクトハウス:清宮 雄】

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